第二十二章:
夜の闇の中、小妖たちが海辺で戯れていた。
玉蝦の宮女は両手に輝く柔らかな灯りを見つめ、胸が感動で一杯になった。
「できた、できたわ!」
周りの小妖たちが歓声を上げた。
「小猿さん、本当に賢いわね!」
玉蝦の宮女は感謝の表情で符文を教えてくれた猿の精を見つめた。猿の精は頭を掻きながら「これは霊力をあまり必要としない符文だから、彫るのは難しくないよ」と答えた。
「さあ、飛ぶかどうか試してみて」
猿の精が言うと、玉蝦の宮女が手を放すと、提灯は月明かりの下でゆっくりと浮かび上がり、温かな光を放った。
小妖たちは喜んで見つめ、しばらくしてから散っていった。
猿の精が森に戻ると、一人の女性が近づいてきた。
「兄上、何をしていたの?」
彼女がそう口を開くと、猿の精は本来の姿を現した。
孫悟空は不思議そうに尋ねた。「どうして私だと分かったんだ?」
「兄上は他の者は騙せても、私は騙せないわ」
敖鸞は少し得意げに言い、そして海辺を見つめて続けた。「あの符文が発明されてから、小妖が作り出すのを見たのは初めてよ」
孫悟空は笑って言った。「下級符文さ。数日もすれば、他の小妖たちも覚えるだろう」
敖鸞は孫悟空の方を向いた。
「兄上は小妖たちの教え方を知っているのに」
彼女は眉をひそめた。「なぜ直接方法を公開しないの?」
「優れた管理者は、部下を導き、自主的に働くよう励ますものだ」
孫悟空は答えた。「何でも知っているように見せてはいけない」
あまりに万能すぎると、妖怪たちは技術の追求を彼に依存してしまう。人材育成という観点から——孫悟空は時々実力を隠すことが必要だった。保母になりたくはなかったのだ。
敖鸞は口を尖らせた。「兄上はただ怠けているだけよ」
孫悟空は笑い、その言葉を否定しなかった。「まあ、私も仕事が多いからね」
敖鸞は鼻を鳴らし、それから笑みを浮かべながら孫悟空の前でくるりと回った。
「兄上、今日の私に何か変化があるって分かる?」
「変化?」
孫悟空は彼女を上から下まで見た。「お前...背が伸びたか?」
「違うわ!」
敖鸞は不機嫌な顔をした。
「かんざしよ、かんざし!」
彼女は頭のかんざしを指さした。「兄上、私がかんざしを替えたの、気付かなかったの?」
「気付かなかったな」
孫悟空の正直な答えに龍姫は力が抜けた。
「先に戻っていろ」
孫悟空は敖鸞に言った。「私にはまだ用事がある」
この木頭!
敖鸞は心の中で歯ぎしりした。
彼女は振り返って海底の宮殿へと戻っていった。
孫悟空は森の奥へと歩いていった。術法を結び、呪文を唱えながら、山の神様を呼び出そうとした。
「やはり反応がないか」
孫悟空は百年の古木の傍で術法を止めた。
山の神様と土地神は下級の小仙人で、彼の法術から逃れる力はない。
孫悟空や他の妖怪たちの記憶の中で、花果山の山の神様を見たことがある者はいなかった。
おそらく大海に囲まれているため、あるいは人間族からの供養が不足しているため、花果山には山の神様も土地神もいなかった。
しかし花果山が発展を続ければ、いずれ天宮が山の神様を派遣してくるだろう。
花果山の土地は万物を育み、妖衆を養う。孫悟空は考えるまでもなく、山の神様の帰属が花果山にとってどれほど重要かを知っていた。
ここに山の神様がいないなら、孫悟空はその位置を天宮の采配に任せるしかない——それは彼の望むところではなかった。
「断つべきときに断たねば、かえって禍となる」
孫悟空の目に神光が閃いた。大丈夫たる者、どうして束縛されることがあろうか!
たとえ彼がその形なき力を奪ったとしても、天宮には文句を言う資格はない。
決意を固めた孫悟空は、すぐに盤膝して座り、山林との対話を始めた。
彼は花果山が天地から生まれた靈猿の里であり、また道を得た妖仙様でもある。回り道をすることなく、一晩でその形なき力を見つけ出した。
「こちらへ来い!」
孫悟空は手を伸ばした。
彼の手は空間を引き裂くかのように、形のない世界で形あるものを掴んだ。
【私はここであなたをお待ちしておりました。我が主よ、我が王よ、私の主人よ……】
まるで声が聞こえてきたかのようだった。
声は瞬く間に消え、孫悟空が手を引っ込めると、手の中は温かく、見下ろすと一枚の木札があった。
木札は何の変哲もない、表面に「花果山」という三文字が書かれていた。
孫悟空は木札を見つめ、深い知性の光る瞳が微かに輝いた。
「まだ足りない」
彼は立ち上がって海に向かい、指を曲げると、突然五筋の光が遠くから飛んできて、次々と木札に吸収されていった。
これで五つの小島の力も彼の手中に収まった。
孫悟空は再び木札を見つめた。「花果山」の三文字が金光を放っていた。
金光が消えた後、孫悟空は木札を腰に下げ、水簾洞へと向かった。
すぐに立ち止まった。前方の絡まった茨が道を開けた。
「どうしたことだ?」
孫悟空は別の方向に向き直った。地面の雑草は彼が通る時に自ら両側に分かれ、垂れ下がった枝も持ち上がり、彼が身をかがめずに通れるようになった。
これらの雑草や木々はまだ精を持っていないはずなのに、どうしてこのような知恵があるのだろう?
孫悟空は不思議に思いながら、小川のところまで来ると、さらに驚くべきことが起こった——両側の大木が根を伸ばし、小川の上に木の橋を作ったのだ。
花果山の植物たちが孫悟空のために道を開いているのだった。
「もしかして……」
孫悟空は木札を取り出すと、その上の光がまた輝いているのを見つけた。
この木札が持っているのは力ではなく、ある種の権力のようだった。
「なるほど」
孫悟空はようやく、なぜあの小さな山の神様たちが山を動かし海を覆すことができるのか理解した。
彼らの山を動かし海を覆す力は修行からではなく、山の神様という身分から来ているのだ——山の神様は、山林そのものの意志を象徴している。
「思わぬ収穫だ」
孫悟空は心の中で喜んだ。この木札があれば、今後は簡単に花果山の地形を変えることができる。
つまり、理想の国を素早く築き上げることができるということだ。
「もう一度鎮元大仙様に会いに行かねば」
孫悟空は考えた。三ヶ月の期限も来ていた。
彼が何度も鎮元大仙様を訪ねた第一の目的は、花果山の基礎結界の完成を手伝ってもらうことだった。
しかし山神の札は孫悟空の予想以上に有用だった——もし鎮元大仙様が同意しなければ、一人でやることに決めていた。
鎮元大仙様は孫悟空にとって、もはや絶対に必要な存在ではなくなっていた。
五庄観で、鎮元子様はお茶を飲んでいた。
二人の仙童が部屋に入ってきた。「師匠様、あの猿がまた来ました」
「放っておけ」
鎮元子様は冷たく言った。
二人の仙童は続けて言った。「あの猿が言うには、今回が最後の訪問だそうです」
「なんだと!?」
鎮元大仙様はお茶を飲むのを止め、立ち上がって部屋の中を歩き回り始めた。
二人の仙童は顔を見合わせた。師匠様の様子がおかしいのではないか?
孫悟空は五庄観の門前で待っていた。
しばらく待ったが、鎮元大仙様は出てこなかった。彼は立ち去ろうとした。
「待て——」
中から突然声が聞こえた。「孫悟空よ、聞きたい。もしお前が天を損ない理に背くことをするなら、その時私はどうすればよいのだ?」
孫悟空は振り返った。
「それは大仙様とは関係ありません」
彼ははっきりと答えた。「大仙様は世事に関わらぬお方。私があなたを巻き込むことはありません」
五庄観の門がゆっくりと開いた。
「それならば、早く入れ。少し話をしよう」
孫悟空は驚きを隠せず、思わず考えた。
この鎮元大仙様は、もしかして照れ屋なのか?