翌日、金翅大鵬鳥は方天戟を手に持ち、黒雲に乗って空中に立ち、孫悟空に向かって叫んだ。「おのれ、悪猿め、今日こそお前の首を取ってやる!」
孫悟空は軽く首を振った。「そんな器量があるとは思えないがな」
金翅大鵬鳥は激怒し、再び戦いを始めた。定風丹は持っていなかったが、今日は賢明に立ち回り、決して孫悟空に扇子を振り上げさせなかった。
芭蕉扇が現れるたびに、光となって孫悟空の周りを飛び回り、どこを扇ぐべきか分からなくさせた。
しかしそうすることで、金翅大鵬鳥も優位に立つことができず、首を取るという目的も自然と達成できなかった。
日が沈むと、金翅大鵬鳥は自ら身を引いた。
「わしは今日は調子が悪い。明日また戦おう!」
彼は怒り心頭で飛び去った。
孫悟空は首を振り、萬壽荘へと戻った。
「大王様」
妖狐様は期待に満ちた表情で彼を見つめた。「追い払えましたか?」
「いいや」
孫悟空は答えた。
妖狐様は顔を曇らせた。「あの鳥人め、なんて執念深いんでしょう!」
そう言うと、筆を取り、机の上の画用紙に描き始めた。
孫悟空はその絵が特別なものだと気づいた。自分の肖像画ではなかったのだ。「なぜ奴を描くんだ?」
「復讐です」
妖狐様は言った。「玉面の狐に頼んで、奴の姿を像にして、花果山中で売りさばくつもりです」
孫悟空は思わず笑みを漏らした。妖狐様は本当に子供のような考えをする。
彼は結跏趺坐を組み、目を閉じて修行を始めた。
翌朝早く、金翅大鵬鳥は再び挑戦してきて、孫悟空は一日中戦い続けた。
この日、金翅大鵬鳥は心理戦を仕掛け、絶え間なく言葉で孫悟空を挑発した。
しかし孫悟空は聞こえないかのように、まったく相手にしなかった。
金翅大鵬鳥は再び何も成し遂げられず帰還し、心中は憤懣やるかたなかった。
「あの悪猿め、なんて手強いやつだ!」
洞窟で酒を飲みながら言った。「勝てないし、罵っても反応しない。まるで石ころのようだ!」
「大王様」
獅子妖は酒を注ぎながら言った。「なぜ戦いの中で策を用いて奴を欺かないのですか?」
金翅大鵬鳥は振り向いた。「何か良い策があるのか?」
「猿王の扇子があなたの動きを妨げているのなら、初日のように素手で戦えばよいのです」
獅子妖は言った。「チャンスを見つけたら、奴が反応できないうちに、方天戟を取り出して切り捨てればよいのです」
「難しい、難しい!」
金翅大鵬鳥は二度難しいと叫び、言った。「あの猿王は狡猾すぎる。恐らく騙されはしまい」
「大王様、焦ってはいけません」
獅子妖は言った。「このような相手を倒すには、機会を辛抱強く待つ必要があります」
この言葉を聞いて、金翅大鵬鳥は思案顔になった。
「お前の言う通りだ」
彼は獅子妖を褒め、この計画は悪くないと思った。
金翅大鵬鳥は不思議に思った。普段は理性的な自分が、なぜあの猿に会うと毎回激怒してしまい、こんな単純な策さえ思いつかなかったのか。
しかし今は、冷静さを取り戻していた。
また一日が過ぎ、金翅大鵬鳥は方天戟を収め、孫悟空と素手で戦うことを提案した。
孫悟空は快く承諾した。めったにない好敵手との戦いを、武器のせいで台無しにしたくなかった。
二人は接近戦を繰り広げた。金翅大鵬鳥は千年以上の修行を積んでいたが、十数日連続で勝負がつかなかった。
金翅大鵬鳥は心中で悔しがりながらも、同時に喜びも感じていた。
「あの悪猿め、罠にかかったな」
十数日の戦いで、孫悟空は警戒を緩めているようだった。
この日も、二人の妖怪は神通力を競い合い、東海で拳を交え蹴りを放ち、一撃一衝突で海を揺るがした。空を飛ぶ鳥も、海底を泳ぐ魚も、恐れて姿を消した。
二人は行ったり来たりしながら、日が沈むまで激しく戦った。金翅大鵬鳥は力尽き、筋肉が痺れ、再び海底へと潜った。
孫悟空はそれを見て、すぐさま分身の術を使い、毫毛を数本抜いて口に当てて吹いた。
空一面に猿の群れが現れ、海底へと突進し、金翅大鵬鳥を海面まで追い上げ、混戦となった。
孫悟空は笑みを浮かべた。
「ん?」
彼は突然振り向いた。見覚えのある気配が花果山に戻ってきていた。
「今だ!」
金翅大鵬鳥はチャンスを見つけ、身を躍らせ、分身を猿の群れと戦わせたまま。
その本体は瞬時に孫悟空の後頭部に現れ、方天戟を取り出して頭めがけて一撃を放った。
孫悟空は戟の風切り音を聞いて振り向いたが、その時には既に方天戟が命中していた。
「轟」という巨大な音響とともに、方天戟から放たれた気刃が空を引き裂き、方十里の雲霧を粉々に震え散らした。
空中で観戦していた巨靈神様は、気刃にかすっただけで天將の鎧が破壊寸前となり、青ざめた顔で慌てて南天門へと逃げ込んだ。
金翅大鵬鳥のこの一撃は、かつての孫悟空が南天門に放った矢に劣らぬものだった。
しかし次の瞬間、金翅大鵬鳥は急いで後退した。
「お前は...お前は...」
金翅大鵬鳥は震撼しながら孫悟空を見つめた。
頭部への直撃を受けた孫悟空に、何の異常も見られなかった。
彼の体は無傷で、衣の端まで金光を放ち、少しの損傷もなかった。
「これは何という神通力だ!」
金翅大鵬鳥は大いに驚愕した。
この一撃には神妙な力が込められており、単なる斬撃ではなかった。天仙でさえここにいれば、魂魄が散り散りになっていたはずだ!
なぜ孫悟空は無傷なのか!?
「よくも...」
金翅大鵬鳥は激怒した。「このような悪猿め――」
彼はついに異変に気付いた。
「貴様、わしを練習台にしていたな!」
孫悟空にこのような神通力があるなら、何も武器など必要ないはずだ。
この数日間、自分と戦い続けたのは、単に自分を面白がって、わざと練習台として使っていたのだ!
金翅大鵬鳥は怒りで胸が張り裂けそうになった。
かつてない屈辱を味わったのだ!
「悪猿め、貴様は度が過ぎる!」
孫悟空は振り向き、激怒する金翅大鵬鳥を見つめた。
少し考えてから、こう言った。「お前にはまだ使っていない物があるだろう。全力で戦うわけにはいかなかったのさ」
心の中では同意していても、孫悟空は口では認めるつもりはなかった。
金翅大鵬鳥はこの説明を受け入れたようで、尋ねた。「わしに何が残っているというのだ?」
「お前の陰陽二気の壺はどうした?」
孫悟空は尋ねた。「なぜ取り出さない?」
金翅大鵬鳥は息を飲んだ。なぜこいつはそれまで知っているのか。
それこそが彼の真の宝物で、七寶八卦、二十四気を内包し、誰かを中に入れれば、黙っている分にはまだしも、一度でも話せば、たちまち膿血と化してしまう。
孫悟空は陰陽二気の壺のことまで知っていた。
「いかん」
金翅大鵬鳥は考えた。「この悪猿は狡猾で陰険だ。自ら陰陽二気の壺のことを持ち出すということは、何か企んでいるに違いない」
そう思うと、金翅大鵬鳥はすぐさま方天戟を収めた。
「今日はここまでだ。もう戦わん」
彼は言った。「養生して力を蓄え、明日こそお前の首を取ってやる!」
そう言うと、金翅大鵬鳥は身を翻して去っていった。
「もう十何日も同じことを言ってるな」
孫悟空は呟きながら、花果山へと戻っていった。