287章 石鹸工場の準備

西境、辺境の町。

銀光市から買い付けた洗濯石は四船分もあり、ただ積み下ろすだけでも数日かかった。

今や十分な原料が揃ったので、石鹸の生産計画が正式にスケジュールに上がるべきだ。

それに合わせて工場と倉庫もすでに設立完成―石鹸工場は工業団地の隣に位置し、2号蒸気組立工場に隣接し、デザインもまったく同じだ。屋根、柱、壁板はすべて木造で、サイズこそ少し小さく、木材の切断と吊り込み作業はすべて魔女が担当したため、建造にはわずか一週しかかからなかった。

洗濯石、つまり天然アルカリを使って石鹸を作るのは、基本的には一連の化学反応である。必要な原料も一般的なもので、純アルカリ以外には、大量のライムミルクと油脂が必要だ。ライムミルクとは、ライムを水に浸して得られる懸濁液で、容器の底に沈殿するもので、それを純アルカリと反応させてソーダ灰を生成し、それを更に油脂と反応させて高級脂肪酸塩とグリセリンを生成する。前者が石鹸であり、後者は非常に重要な爆薬の原材料となる。

以前、香り付き石鹸を作る際、ローランは城の裏庭で全ての反応過程を実験していた。その原理は基本的に同じだが、小量の試作を大量生産に拡大するには合理的な工程や基準を定める必要があり、更に重要なのは専門的な化学者が生産を指導することだ。

そのため、彼は首席錬金術師をオフィスに呼び出した。

「殿下、お求めの大規模な硫酸の生成については、おそらく可能な方法を考えつきました。」と、ケイモ.ストゥイールはオフィスに入るなり大声で言った。「しかし、これには大量の鉛が必要であり、それを容器にするための鍛冶師も必要です。あなたの魔女の中に金属を正確に切断できる人がいると聞いています。それら騒々しい鉄の塊は彼女が作ったものだと聞きました。私も…」

「もちろん、必要な容器の形状とサイズを教えてくだされば、魔女の連盟に伝えておきます。」とローランは手を振り彼に座るように示した。「しかし、今日あなたを呼び出したのは酸を作るためではなく、別の任務のためです。」