第581章 魔女たちの夜話
夜、ウェンディはすべての魔女たちを自分の寝室に呼び集めた。
広々とした部屋は一瞬にして人でいっぱいになった。
この光景は見覚えがあった。一年前にも、彼女は姉妹たちをここに集め、町の状況を説明し、彼女たちの不安を和らげたのだ。
当時、蛮荒の地から逃れてきた姉妹はわずか七人で、魂を失ったかのように、前途に対して不安と恐れを抱いていた。その中には「もう十分だ、これからどんな運命が待ち受けていようと構わない」という思いを抱えて、この辺境の小さな町にやってきた者も少なくなかった。生きることさえ彼女たちにとって困難なことで、まして魔女たちの頭上に影のように覆いかぶさる教会のことなど、なおさらだった。
しかし今、皆の表情は一年前とは全く異なっていた。
単なる生存だけでなく、自由に生きていくことが姉妹たちの共通認識となっていった。
他者からの圧迫や敵意もない。
食べ物や安全を心配する必要もない。
ここは魔女たちの「聖山」となっていた。
ローラン陛下が教会を打ち負かすのを手伝えば、すべての悪夢は消え去り、魔女たちは真の解放を迎えることができる。
全員の視線がウェンディに集まったとき、彼女は口を開いた。「教会が来るわ」
昼の会議での情報に関する部分はそれほど多くなく、彼女は密書の内容をすぐに説明し終えた。寝室には一時的な静寂が訪れた。
「陛下は...勝てるのかしら？」しばらくして、ミステリームーンが小さな声でつぶやいた。「私、工場の近くで一日中電気を作ることができるのに...」
「やめなさいよ。そんなことしたら、彼があなたの世話をする人を特別に配置しなければならないでしょう」リリーは軽蔑したように口を尖らせた。「こんな時に余計な心配をかけないで」
「そんなことないもん！」
魔女たちから笑い声が漏れ、最初の一人が口を開いたことで、その後の声も自然と増えていった。
「私も白酒の生産を倍にするわ」イブリンは拳を握りしめて言った。
「でも教会との戦いにそんなに酒は必要ないんじゃない？」
「えっ...そうなの？」
「私は陛下が負けるとは思えないわ。超越の魔女アッシュでさえ、カーターに重傷を負わされたんでしょう？」ハチドリは率直に言った。「神罰軍はアッシュほど強くないわ」
「本当？あの無敵のアッシュも負けたことがあるの？」普段あまり発言しないダークフェザーは驚いた表情を見せた。
「負けたわけじゃないわ。カーターは気を失い、アッシュは動けなくなった。引き分けだと思うわ」
「私の知る限り、それは公平な戦いではなかったわ」アエゴサは反論した。「超越者が同等の武器を使用した場合、より強くなるはずよ」
「でも眠りの島には超越者は一人しかいないけど、銃を持った兵士は数千人もいるわ」
「ちょっと待って、議論の方向性が違うんじゃない？」ロールは呆れたように首を振った。「今話しているのは教会とローラン陛下のことよ」
ウェンディは心の中でほっと息をついた。皆は心配しているものの、誰一人として教会との戦いを恐れてはいなかった。これは一年前には想像もできなかったことだ——結局のところ、敵の勢力は山のように動かしがたく、それに立ち向かおうとした魔女は一人も生き残れなかった。共助会は東へ西へと逃げ回り、絶境山脈という人跡まれな地に向かうしかなかったのだ。
もちろん、この心境の変化は陛下が対外戦争で一度も負けていないことと大きな関係があった。
「とにかく、この戦争は魔女連盟の未来がかかっているわ」彼女は深く息を吸い込んだ。「もし陛下が教会を完全に打ち負かしたら、何が起こるか考えたことある？」
皆は一斉に口を閉ざしたが、目には言い表せない光が宿っていた。
「王国全体...いえ、大陸全体で、魔女が安心して暮らせるようになる。そしてローラン陛下の領地では、私たちは一般の人々と共に新しい世界を作り、同等の名誉と地位を享受することができる——これは陛下がいつも口にしていた言葉よ。ただ、こんなに早く実現するとは思わなかったわ」
ウェンディは一旦言葉を切った。「でも陛下のいつもの習慣からすると、皆があまり無理をする必要はないわ。普段通り仕事をしていればいい。この自信さえあれば、私たちは負けないわ」
彼女はあまり深い物事は理解できず、能力や知識も連盟の中で最も優れているわけではなかった。陛下が魔女連盟を彼女に任せたのは、彼女にできることはこれくらいしかなかったから——出陣前、陛下はいつも第一軍の前で感動的な演説をする。彼女には人々を鼓舞するような方法は思いつかず、ただ心の中の言葉を皆に伝えることしかできなかった。
「他人のことを思いやる心が何より大切」、彼女はロールのこの言葉をしっかりと覚えていた。
「ここは私たちの故郷であり、魔女の運命を変える転換点よ。私はそのためなら何でも捧げる覚悟があるわ！」
ウェンディは言い終わると左手を差し出し、手の甲を上に向けた。
ロールが最初に手を重ねた。
次にナイチンゲールとアンナ。
「ローラン陛下と無冬城のために！」
皆は輪になって、次々と手の甲を重ねていった。血牙会の魔女たちはしばらく躊躇していた。まるで皆に受け入れられるかどうか分からないかのように。リーフが彼女たちを輪の中に引き入れるまで——手が直接触れ合うことで、彼女たちはようやくこの集団に本当の意味で溶け込んだのだった。
「悪魔と戦う前に、こんな厄介な連中と対峙しなければならないなんて」
アエゴサはそう言いながらも、手を伸ばした。
最後にウェンディは自分の右手を皆の手の上に置き、周りを見回した。
「魔女連盟のために！」
「永遠なる聖山のために！」
...
皆が去った後、寝室には彼女とナイチンゲールの二人だけが残った。
ウェンディがドアを閉めると、突然背後から涼しい風を感じた。
振り返ると、ナイチンゲールはいつの間にか窓を開け、窓辺に座って夜空を眺めていた。夜風が彼女の巻き毛を揺らし、同時に漂ってきたのは淡い香りだった。
「あなたもこの戦争を心配しているの？」ウェンディは窓際に歩み寄った。
「心配？」ナイチンゲールは首を傾げ、発光魔石の光に照らされた瞳が人を焼くような輝きを放っていた。「私は笑い出しそうになるのを我慢しているのよ」
「笑い...出しそう？」
そのとき彼女は相手から漏れ出る鋭い気配に気付いた——ナイチンゲールのように、能力を使わずに魔力を外に放出できる人は稀だった。しかもそれはもはや捉えどころのないものではなく、まるで無数の刃のように、近寄りがたい領域を形成していた。まるで霧の世界が少しずつ周囲の空間を侵食し、現実世界に影響を及ぼし始めているかのようだった。辺境町に来てからは、この感覚がますます顕著になっていった。
敵にとって、これは最も危険な前兆だった。
「教会に正々堂々と復讐できる。私はずっとこの日を待っていたわ」ナイチンゲールはゆっくりと語った。「教会の手によって理不尽に命を落とした姉妹たちも、きっとこの日が来るのを待ち望んでいたはず——私は復讐の味を知っているわ。あの感覚は忘れられないものよ」
彼女が朝寝坊をする女性と同一人物だとは想像し難かったが、幸い彼女は姉妹たちの敵ではなかった。
ウェンディは手を伸ばしてみた。ナイチンゲールに触れた瞬間、鋭い感覚は消え、彼女は相手を抱きしめた。
「あなたのしたいことをすればいい。でも陛下を...そして自分自身を守ることを忘れないで、わかる？」
「うん」ナイチンゲールは目を閉じ、小さな声で答えた。「わかってるわ」
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