第630章 捕らえられた純潔者

ナイチンゲールは生涯でこれほど自責の念と後悔を感じたことはなかった。

彼女はローランのそばにいれば、誰も彼を傷つけることはできないと思っていた。

しかし今、彼女は幽谷町の城の寝室に無傷で立っているのに、ローランはベッドに横たわったまま、意識を取り戻さないでいる。

彼の体内には魔力反応が見られず、五臓六腑も無傷のままだ。安息の種のような呪いでもなく、内臓を直接破壊するような殺傷能力でもない。見識の広いアエゴサでさえ、この能力の種類や解決方法がわからなかった。

あらゆる通常の覚醒方法を試したが、効果はなく、ローランは外部からの刺激に全く反応しない。呼吸と心拍がなければ、死亡と何ら変わりがないだろう。

彼女は今やっとアエゴサの忠告を理解した——

魔女の能力の前では、絶対に安全な防御などないのだ。

しかし、この悟りは少し遅すぎた。

そのとき、部屋の外から急ぎ足の音が聞こえ、ライトニングがドアを勢いよく開けて叫んだ。「あの純潔者が目を覚ましました！」

部屋の中の魔女たちはすぐに興奮した。

「みんな慌てないで、一斉に駆けつけても意味がないわ」ウェンディが口を開いた。「それに彼女の能力もまだわからない。安全のために、まずはアエゴサさんとナイチンゲールが状況を確認した方がいいわ」

姉妹たちから深く信頼される先輩として、彼女の落ち着いた口調は皆を少し落ち着かせた。

ナイチンゲールは深く息を吸い、ウェンディにうなずいた。「任せて」

何年もの逃亡生活の中で、彼女は否定的な感情が状況を変えるのに何の役にも立たないことをよく知っていた。特にこのような重要な時には、大きな過ちを犯したからといって自分の責任から逃げることはできない。

彼女はローラン陛下を連れ戻さなければならない。

「行きましょう」アエゴサはため息をついた。

部屋を出るとき、ナイチンゲールは思わず振り返った。ベッドの傍らに座るアンナは動かず、彼女の目はまだローランを見つめたままで、他のことには一切関心を示さないようだった。

罪悪感はさらに強くなった。

……

城の一階にある使用人の部屋は特別な監禁室に改造されていた。四方の壁の裏側には数十個の神罰の石が埋め込まれ、形成された黒い穴が幾重にも重なり、能力を遮断する檻となっていた。部屋の中央に立つときだけ、魔力を使うことができた。

ナイチンゲールは彼女たちが尋問する相手が誰かを当然知っていた。

大戦後、第一軍兵士は三号塹壕の四角い土の穴で生き残った三人の純潔者を見つけた。一人は力尽き、一人は気絶し、唯一意識のある者は震えていた。彼女の口から、地下に潜んでいた純潔者は全部で五人で、それぞれジェロ、イザベラ、黒紗、マギー、そしてヴァニラ——最後の一人は彼女自身だった。

ヴァニラの証言によると、彼女とマギーはローラン陛下の位置を確認し、他の三人を戦場に潜入させる役目だけを担当していて、他のことについてはほとんど知らないという。ジェロ、イザベラ、黒紗は教皇の直属の純潔者で、地位は大主教に相当し、能力も教会の機密で、詳細を知る者はほとんどいなかった。今や黒紗は死亡し、ジェロは姿を消し、唯一の突破口はイザベラだけとなった。

イザベラが気絶した理由は、検査の結果、魔力を使い果たしたことによる意識喪失であることがわかり、一日か二日待てば自然に回復するはずだった。また、彼女の手からは奇妙な破損した印が見つかったが、魔石がすべて壊れていたため、アエゴサもそれが何の印なのか識別できなかった。

しかし予想外にもイザベラは五日間も眠り続け、この間ナイチンゲールはやきもきして、短剣で無理やり相手を目覚めさせたいほどだった。ウェンディが止めなければ、彼女はおそらくそうしていただろう。

「彼女が目覚めたのを発見したのはあなた？」アエゴサはライトニングに尋ねた。

少女は首を振った。「彼女が自分で目を覚ましたの。アッシュの検査の番になったとき、彼女はベッドの端に座って、こんな監獄は彼女には意味がないと言ったわ」

ナイチンゲールの表情が暗くなった。「彼女は私たちを挑発しているの？」

「すぐに聞いてみればわかるわ」アエゴサは冷静に言った。

第一軍の幾重もの警備を通り抜け、二人は狭い部屋に入った。部屋には窓がなく、頭上に吊るされた松脂の松明が黄色い光を放っていた。部屋には立てかけられた木製のベッドと低いテーブル以外、何もなかった。

純潔者はベッドの端に座ったまま動かず、肩に垂れた巻き毛は炎の光に照らされて金赤色に見え、まだ血の付いた神職者のローブを着ていた。顔の埃はすでに黄色い斑点となって固まっていた。

「どうやらジェロは完全に失敗したようね」ナイチンゲールが質問を始める前に、相手から沈黙を破った。「彼女は結局、神の寵児になれなかったわ……」

「神の寵児？」ナイチンゲールは冷笑した。

「安心して、私は知っていることをすべて話すわ」イザベラは彼女の言葉の皮肉に気づかないかのように、軽くため息をついた。「それから……あなたたちの処分に従うわ」

純潔者の態度にナイチンゲールは思わず驚いた。彼女には相手の言葉が本心だとわかったからだ。

しかし今さら降参するには遅すぎる。「あなたは先ほどこの檻はあなたを閉じ込められないと言ったわね？今は諦めたの？」

「私の能力は神罰の石の効果を消すことよ。発動する空間さえあれば、どれだけ神石があっても意味はないわ」イザベラはゆっくりと言った。「でもそれ以外は、壁を通り抜けることも、地中を潜ることもできない。だからこんな特別な部屋を用意する必要はなかったのよ」

「あなたの能力は神石に影響するの？」アエゴサは驚いて言った。

「それらは底なしの黒い穴のように見えるけど、そうよ……」イザベラは率直に言った。「私はそれらを消すことができる」

「つまり、ローラン陛下が身につけていた神石が効かなくなったのは、あなたのせいということ？」ナイチンゲールの両手は拳を握りしめた。

「あの時、私には他に選択肢がなかったの。ジェロはすでに神に惑わされていて、二人のうち一人だけが神の微笑みを得られると信じていたわ」

アエゴサは彼女の手を静かに押さえた。「ローラン陛下を昏睡状態にした人物はジェロなの？彼女の能力は何？」

「昏睡状態？」イザベラは少し眉をひそめた。「魂の戦場は瞬時に勝負がつくはずよ。もしローランがその場でジェロにならなかったなら、ジェロの吸収は失敗したということ。もしかして、彼があれほど膨大な記憶に耐えられなかったから、目覚められないのかしら？」

ナイチンゲールとアエゴサは顔を見合わせた。「魂の戦場？」

「そう」イザベラは重々しく言った。「それは精神と意志の戦いよ。敗者はすべてを失い、勝者は……すべてを得る。ジェロは魔女として覚醒して以来、魂の戦争で一度も負けたことがない。彼女が吸収した凡人と魔女は数千に及び、彼らの記憶と知識だけでなく、長い寿命も……今日まで、彼女はすでに200年以上生きている」ここまで言って彼女は悲しそうに目を閉じた。「一人の凡人の王子に敗れるなんて、思いもしなかったわ」