第124話 疲れて愛せなくなったの？_2

これは自分への不満を表現しているの？もう自分に飽きたの？疲れて愛せなくなったの？

彼女は急に慎重になった。やはり四、五年の恋愛だから、本当に別れるのは惜しい。女の子らしい気まぐれな性格を抑えて、そっと探るように尋ねた。「光彦、どうしたの？」

木村光彦は突然立ち上がり、財布から紙幣を取り出してテーブルに置き、彼女の手を引いて外へ走り出した。眉をひそめながら言った。「ここではもう食べない！」

はんせんみやびは訳が分からず、自分のバッグを手に取るのがやっとで彼に引っ張られていった。心の中では不思議に思っていた。店の入り口まで来たとき、店長が追いかけてきて焦って尋ねた。「お客様、何かご不満でも？」

注文したばかりで手も付けずに出て行くなんて、どういうことだろう？

木村光彦は礼儀正しく答えた。「お店には関係ありません。私個人の理由です。」そう言うと彼女の手を引いて通りの向かい側まで走り、そこで列に並んだ。

店長は彼らが走っていく姿を見送り、自分の店内のまばらな客を見渡した。雰囲気が全くない。考えた末、経営者を探しに行った——このままではいけない！

はんせんみやびは彼が何を考えているのか分からなかった。30分以上待って、やっと彼らの番が来た。彼女はもうかなり不機嫌になっていて、我慢できずに聞いた。「光彦、もう私とデートしたくないの？私に何か...」

彼女の言葉は途中で切れた。彼に純味屋の中に引っ張り込まれ、立ち込める香りに圧倒されて、言葉を失ってしまった。

木村光彦も深く息を吸い込んで、彼女に笑顔で言った。「この煮込み料理は週に一日しか提供されないんだ。だから今日はここで食べなきゃいけなかったんだ。ごめんね、みやび。待つ価値はあると思うよ！」

はんせんみやびは必死に唾を飲み込んでやっと話せるようになったが、彼の言葉には気付かず、ぼんやりと言った。「いい香り！」

雪里は彼らを席まで案内しながら、小さな鼻で嗅ぎ回って同意した。「本当にいい香りですね！」

北原秀次は冬美のようにケチではなく、毎回作ったらみんなに分けていたが、やはり販売用なので、雪里がお玉を持って次から次へと食べ続けるのを許すわけにはいかなかった——雪里の食欲なら、あの壺の六分の一は軽く平らげてしまうだろう。