第127章 雪里は淡水魚かもしれない

剣道の競技は、ある意味では将棋のようなものだ。上手な相手と対戦することは、早く上達する最良の近道だ——北原秀次は実戦経験と技術が豊富で、高校生の中でもトップクラスの実力者だった。練習相手としても申し分なく、さらに惜しみなく指導してくれる意志があった。

そして冬美は基礎がしっかりしていて、まだまだボロボロに打ち負かされているものの、すぐに教訓を受け入れ、確実に少しずつ強くなっているのが感じられた。

数日練習した後、北原秀次は冬美が「生徒」としてなかなか良いと感じた。闘志があり、頭が良く、努力も惜しまない。とにかく、もう一人の「生徒」である雪里よりずっと優秀だった。

汗を拭いながら福沢家の共用活動室に入り、雪里を見て優しく尋ねた。「雪里、暗記はどう?もうすぐテストだよ、頑張って!」

雪里が顔を上げると、その美しい大きな瞳には輝く星がいっぱいで、絶え間なく回転していて、まるで銀河系の縮図のようだった。見る者を思わず魅了して放心状態にさせる——つまり、ぼんやりした目つきで、いわゆる蚊取り線香目だった。

北原秀次が近寄って確認すると、彼女に渡したノートはほとんどめくられていないことが分かり、思わず言葉を失った。彼は一貫して雪里の学習指導を続けてきたが、この一ヶ月半で、雪里は時代を間違えて生まれてきたのかもしれないと気付いた。

原始社会なら、雪里の明るく楽観的な性格と、熊のような力、豹のような速さ、豚のような食欲があれば、少なくとも部族の第一勇者として活躍できただろう。しかし現代社会では、みんなが頭脳で勝負するようになり、彼女はちょっと……

彼女は言うことを聞かないわけでも、努力しないわけでもない。実際、とても素直だ。ただ本当に覚えられないだけなのだろう。

本を開いて、じっと二度見る。うん、福沢雪里、覚えた!

本を閉じると、突然呆然として……あれ?福沢なんだっけ?

本を開いて、もう一度見る。あ、福沢雪里、覚えた!

本を閉じる……福なんとかり?ちょっと待って、考えてみよう……思い出せない、あはは、私って馬鹿だね!

本を開く、福沢雪里、そうそう、これだ!

本を閉じる……えっと?何雪里だっけ?

本を開く、おお、福沢雪里!福沢雪里、福沢雪里、今度こそ本当に覚えた!