第150章 お金持ちのお兄さん

冬美は北原秀次の弱点をついに見つけたことに少し得意になっていた。些細な欠点に過ぎないが、うまく利用すれば意外な勝利を収める可能性は十分にあった。

しかし、彼女は北原秀次に何度も懲らしめられてきたため、軽率な行動は控えめにして、何事もなかったかのように、適切な機会を辛抱強く待っていた。

この男は自分を随分と助けてくれた。いつも彼と言い争うべきではないのだが、彼にも随分といじめられてきた。今や学校で笑い者にされているのは、半分以上が彼のせいだ！一度だけでいい、一度だけ勝って鬱憤を晴らせれば、これからは彼に優しくして、借りを全部返すつもりだ！

冬美は静かに潜伏し、そうして一日が過ぎた。雪里は勉強のため連れ戻され生きた心地がせず、陽子は楽しく遊び、少し小さな女剣士の風格が出てきた——可愛らしいが、戦闘力はほぼゼロで、剣術の才能も見られなかった。

その夜も通常営業で、相変わらず満席だった。記者も来店して北原秀次と雪里にインタビューをしたがったが、北原秀次は上手く言い包めて客として商売の対象にした。

インタビューなどは北原秀次は笑みを浮かべながら先送りにした。どうせ彼は全くそんな注目を浴びたくなかったし、ネット上の噂話だけでも十分悩ましく、これ以上増やしたくなかった。

翌日、北原秀次は陽子を連れて福沢家に向かい、ついでに百次郎も連れて行った。百次郎を連れて行ったのは、陽子が夏織夏沙にこの賢い犬を見せると約束したからだ——この奴は先日ペットショップに預けられた時、今回も箱に入れられる（電車に乗るため）のを怖がって隠れてしまい、見つけるのに随分と時間がかかった。

二人と一匹が純味屋のある商店街に曲がったところで、中年の太った男が突然彼らを遮った。白昼堂々と通りで強盗をするはずもなく、特に怖くはなかったが、北原秀次は少し不思議そうに尋ねた：「こんにちは、何かご用でしょうか？」

その中年の太った男は腰を曲げ、両手で名刺を差し出した。「私は永寿三福と申します。北原さん、よろしくお願いいたします。」

北原秀次は訳が分からないまま、礼儀正しく両手で名刺の角を持って受け取り、注意深く見た——ARAレストラングループ名古屋支店店長？