第154章 厄神退散

雪里は小さなバッグから膨らんだミニ財布を取り出し、北原秀次はそれをじっと見つめて言った。「なんでもない、ただ見たかっただけ...雪里、中に何が入ってるの?全部お金?」

雪里は北原秀次を他人とは思っていなかったので、直接財布を開いて見せた。中は宝くじでいっぱいだった。「お姉ちゃんはいつも家のお金が足りなくなるんじゃないかって心配してて、私が働きに行こうとすると怒るから、小遣いで全部宝くじを買ってるの。もし当たったら何十億円もあるから、みんな苦労しなくて済むでしょ」

北原秀次は一枚を取り出してみると、かなり昔のもので、はずれだったはずなのに雪里が持っていた。この宝くじを見ながら彼の心は少し柔らかくなった。以前は雪里が小遣いを全部食べ物に使ったと思っていたが、こんなことをしていたとは...

でも宝くじで一攫千金を狙うなんて、バカもここまで極めたものだ。

彼は優しく諭すように言った。「雪里、宝くじの当選確率はすごく低いって知ってるでしょ?」

雪里は北原秀次に向かって拳を握り締め、真剣に言った。「秀次、人は夢を持たなきゃ!」

迎魂火と灯りに照らされて、彼女の大きな目は決意と執着に満ちていた。北原秀次は言葉を失った。確かに人は夢を持つべきだが、この夢は少し信頼できなさすぎる!

雪里は北原秀次の手から宝くじを取り戻し、丁寧に財布に戻しながら嬉しそうに言った。「一度、たった1つ違いだったの。絶対に買い続ければ当たるはず。精誠心至れば金石も開く、大丈夫!」

北原秀次は驚いた。1つの数字が違うなら、それは2等賞じゃないか?それでも数千万円はある―この馬鹿は当選したのに受け取りに行かなかったんじゃ?

急いで尋ねると、雪里は一枚の宝くじを見せて、「1つ違うんじゃなくて、秀次、その回の当選番号はBグループ95223だったの」

北原秀次は宝くじを見た。Bグループ84112...確かに1つ違い、というか全ての数字が1つずつ違っていた。つまり1つも合っていないじゃないか。