249章 本当の金窝_1

暗闇の洞窟の中で、北原秀次はほぼ同じ身長、小柄な冬美春菜姉妹二人を見つめ、徐々に優しい眼差しを向ける——正直、信頼されることの感覚はなかなかいいものだ。

しかし、冬美はそんな彼に気を使う余裕などなく、金砂を小さな袋に詰め、少し残念そうに石の穴を見た:浅い層しかなく、わずかだけ詰めただけで無くなってしまった。しかし、すぐに再び嬉しそうな顔になった、やっぱり金を手に入れたのだから。

これは金だよ!

彼女は興奮して小さな袋を持ち上げてみると、袋は大きくないが意外と重く、片手で投げるのも少し大変、我慢できずに嬉しそうに尋ねた:“いくらになるかな?”

北原秀次はすぐに重さを確認するために袋を取った後、小ロブヘッドの顔に浮かんだ興奮の表情を見て、無念に笑って尋ねた:“本当のことを聞きたいですか?”

“もちろん、実際のことを聞きたい!家一軒が買えるほどの価値ある?”

北原秀次はザラザラした金砂をつかんで、ライトの下で輝くキラキラした金色と、魅惑的な光を見た。それから、期待に満ちた冬美の小さな顔を見て、彼女を傷つけるのをためらい、少し間をおいてからやっと言った:“現在の価値なら、トイレを買うくらいかな……”

冬美は驚きの声を上げた。「トイレ?!」

北原秀次は頷き、安慰するように言った。「高級マンションのトイレだよ!」

福泽家の家宝「きんかん」が価値がないわけではない。価値がなければ福泽直炳が命を懸けて奪おうとはしなかっただろう。しかし、このものにはいくつか致命的な欠点がある。

一つ目、金の価格は変動する。最高時には1オンスあたり約2000ドルまで上がり、最低時には1オンスあたり250ドルほどにまで下がる。これは上下で約8倍の差がある。そして、北原秀次が普段新聞を読んで得た情報によると、現在の金の価格は歴史的な安値からそれほど遠くないところにある——数年前に福泽直隆が金を掘り出していた時期は、まさに金の価格が歴史的な最低水準にあった時期だったので、彼はかなりの苦痛を感じていたであろう。