第252章 犬の口から象牙が出ない_1

北原秀次はこの一ヶ月余りをとても快適に過ごしており、何も特別な事は起こらず、小ロブヘッドが生活の細々した事を分担してくれたため、彼はアルバイトか勉強が主で、家事は料理だけを担当していた。生活はかなりスムーズに進んでいた。

ただ、私立大福学園は一年三学期制を採用しており、年末には約半月ほど冬休みが設けられている。つまり12月24日から明年の1月9日までである。

彼は本当に冬休みを取りたくなかった。それは冬休みを取るということは、新年を迎えることを意味し、新年を迎えるということは、元のお宅に帰らなければならなくなる。日本では新年は元旦、つまり陽暦の1月1日に祝う。

帰らなければならない。現在の彼の年齢で、遠くに学びに行ったとしても、8ヶ月間帰らなくても何とか許容範囲内であるが、新年が来ても帰らないとなると、なんとも言えない。

長期間帰らなければ、それは彼が鳥取県に帰るかどうかではなく、元の父母が名古屋に来るかどうかの問題になる。とにかく自分の立場を変えて考えてみれば、親として自分の子供が大都市に行き、何があっても帰ってこないとしたら、何が起こったのか一目見て確認しなければ心配でしょうがない。

いずれにしてもこの刃を受けることは避けられない。しかし、自分と元主との性格の違いはあまりにも大きいので、本当に帰ってもごまかせるのだろうか?

北原秀次は眉をひそめて考えていた。どうやってうまくごまかそうかと。その時、携帯電話が鳴った。手に取ってみると、小ロブヘッドから来たメールだった。「行動の準備ができた。すぐに下に来て!」

これは北原秀次が前もって約束していたことである。彼は直ちにロフトのスカイライトを開け、冬美の窓台に降り立った。そして、既に待っていた冬美が窓を開けてくれた。

家に入ると北原秀次が不平を言った。「あいつらももう何歳だ。まだこんなことを信じているのか?」