第382章 目が利く

北原秀次は直接追い出そうとし、山根直中は深く侮辱されたと感じた。

彼は当初、この件は簡単だと思っていた。福沢直隆の残した弟子たちや子供たちは最年長でも十七歳で、まだ世間知らずの年頃だった。彼が来て少し指導し、この子供たちに明るい道を示せば、その後さっと身を引き、功名を隠すことができると―彼はこの件で自分の利益を求めるつもりはなく、自分は本当に善人だと感じていた。

彼はもう長居せず、立ち上がって帰ろうとした。北原秀次、冬美、雪里を見る目は非常に失望し、そこには薄い嫌悪感も混じっていた。「直隆がお前たちをこんな風に育てるとは思わなかった...」

彼は福沢直隆の弟子や子供たちへの教育に大きな問題があると感じ、思わず口に出してしまったが、冬美はついに我慢できなくなり、怒鳴った。「私たちがどうしたというんです？！」

「お前たちがどうしたって？年長者に対する最低限の礼儀はどこへ行った？」山根直中はさらに不満げに、厳しく問い返した。彼は冬美の三倍以上の年齢だ、少し言い聞かせることもできないのか？年長者を敬う伝統はもういらないのか？

山根茂吉は事態がこうなるとは思わず、急いで両者を宥めようとした。「まあまあ、落ち着いて、落ち着いて、ゆっくり話し合えばいいじゃないですか。」

彼は北原秀次に将来阪神タイガースに入団してもらいたかっただけで、わざわざ面倒を起こしに来たわけではなかった―そんな暇つぶしをする気はなかった。

誰も彼の言葉に耳を貸さなかった。冬美は山根直中に言い返せなくなっていた。若者と老人の言い争いでは、道徳的に不利な立場に立たされるのは自然なことだった。彼女は一時的に反論できず、怒りで体が震えていた。

雪里は眉をひそめ、心の中でも怒りを感じていた。姉を助けたかったが、何を言えばいいのか思いつかず、淑女らしい罵り方を思い出そうとしていた...しばらくして適切な言葉が思い浮かばず、瞳孔が縮んだ―誰も私のお父さんを侮辱することはできない！

北原秀次は立ち上がり、二人の女性を軽く宥めてから、山根直中に冷静に向かって言った。「山根老先生、確かに年長者を敬うべきですが、私の考えでは、敬意は人を選ぶべきで、敬意は常に相互的なものです。もし年長者としての品格がないのなら、私たちもあなたを敬う必要はありません。」

「あなたは私がチームに入ることが良いことだと思っているかもしれません。大金を稼げると。でも私はそうしたくありません。あなたは私の考えを尊重すべきで、年齢や立場を盾に私の意志を左右しようとするべきではありません―これは私に対する大きな不敬です。あなたが私を尊重しないなら、私もあなたを尊重する必要はありませんし、あなたの言うことを聞く必要もありません。」

「そして福沢先生への評価についてですが、あなたはここに客として来て、福沢先生のお子さんたちは精一杯もてなそうとしました。あなたも彼に対して最低限の敬意を示すべきで、ダメな人だとか失敗者だとか言うべきではありません。私から見れば、福沢先生は非常に成功した人生を送っており、私たちが一生懸命努力しても得られないかもしれない素晴らしいものを多く持っています。」

北原秀次は室内を見回し、冬美、雪里、春菜、夏織、夏纱を順に見て続けた。「福沢先生には深く愛する妻がいて、五人の可愛い娘と、健康な息子がいます―彼には温かく幸せな家族があります。この点で、彼は既に多くの人より優れており、成功したと言えます。」

「確かに仕事の面では、あなたとある程度の差があるかもしれません。しかしそれはあなたが彼を軽蔑する理由にはなりません。私は福沢先生の弟子ではありませんが、彼から多くの指導を受けました。もしあなたがこの点で彼と比べたいのなら、将来私もあなたの息子や甥、弟子たちと比べてみることができます。誰がより大きな成功を収められるか。もし私が勝ったら、私もあなたの家を訪ねて、あなたの前で彼らを失敗者だとか、ダメな奴らだとか言えるのでしょうか？」

「最後に、福沢先生の子育ての問題についてですが、あなたは福沢家の子供たちのことをどれだけ知っているのですか？私は彼らと長い間一緒に生活してきました。責任を持って言えますが、彼らは皆優秀です。冬美は弟妹を思いやり、勤勉で素直で、素晴らしい長女です。雪里は心優しく、才能があり、姉を敬う良い妹です。春菜は冷静で学問好きで、いつも黙々と努力する、とても良い子です。夏織と夏纱は年は小さいですが、活発で可愛らしく、普通の子供より物分かりが良いです...秋太郎は四歳ですが、姉たちに迷惑をかけないよう努めています―山根老先生、私は福沢先生の子育ては非常に成功していると思います。少なくとも私は彼らをとても好きです。」

北原秀次は一気に話し終え、最後に門口を指さして、笑って言った。「ここまでにしましょう。道理があるかどうかはあなた自身がお分かりでしょう。ですから...山根老先生、山根さん、お帰りになられては如何でしょうか。」

彼のこの言葉は穏やかで、怒りの色は全くなかったが、それでいて力強く、理路整然としていて、山根直中を再び言葉につまらせた。

彼は怒りを抑えきれず激高しそうになったが、北原秀次が背筋をピンと伸ばし、目は寒星のように輝き、口元には微笑みを浮かべながらも、自然と人を威圧する雰囲気を漂わせているのを見て―彼は北原秀次の実力を恐れているわけではなかった。幼い頃から剣を学び、今や六段の腕前で、若い頃は血なまぐさい戦いも経験し、玉龍旗でも軽々と五人抜きができる彼が、高校チャンピオンになっただけの北原秀次を恐れるはずがない。しかし、ある不思議な感覚があった...

この若者は穏やかな外見の下に、岩のように堅固な意志を持っていた。彼には自分の考えがあり、自分の理念があり、自分の追求するものがあった。しかもそれは普通の若者によく見られるような大言壮語ではなく、単なる強情でもなく、世間知らずの純真さでもなく、深い思慮と熟考を経て、世界と自分自身を見極めた上での絶対的な自信だった。