第112章 犯人の逮捕

宅配便を強奪した犯人……本当にトイレで用を足している時に捕まったんだ!

その時、強盗は歌を口ずさみながら、賃貸部屋の便所で用を足していた。突然、銃を持った警察おじさんたちが扉を破って入り、小さな賃貸部屋の便所を完全に包囲した。

この陣容と装備を見れば、知らない人は警察おじさんたちが国際指名手配犯を捕まえに来たと思うだろう。まさか……宅配便強盗を捕まえに来たとは誰も思わないだろう!

便所の小窓のところには、サングラスと黒い洋服を着た屈強な男たちが立っていた。彼らは無表情で、とてもクールだった。

便所の扉が開かれた時、強盗はまだ必死にお尻を拭いていた。

「あのさ……警官さん、これはどういうことですか?」強盗は落ち着いた様子で、古狐のような態度を見せた。

「逮捕する。我々と来てもらおう。これが逮捕令状だ」警官は冷たく言い、手錠を取り出しながら……先ほどまでお尻を拭いていた強盗の手を嫌そうに見つめた。

「逮捕?なぜですか?私は何も悪いことしてないですよ?」強盗は強情を張った。

「昨日の昼、お前は宅配便の車を止めて、配達員を殴って、荷物を奪った。監視カメラがないと思って、見つからないと思ったのか?」警官は冷笑した。

もし普通の宅配便の車で、ただの荷物を奪われただけなら、警察おじさんたちはこんな大がかりな出動はしない。問題は、奪われたのが地元の有力者の荷物だったことだ。相手は金も権力もある。その人の荷物を強奪し、頭を殴って、まだ逃げられると思っていたのか?

「大人しく我々についてきて、盗んだものを完全に返せば、刑務所での生活は少しは楽になるぞ」警官は一歩前に出て、両手を差し出すよう促した。

強盗は急に表情を変えた——その宅配便のことを思い出すと胸が痛んだ。

彼は奉月刀宗の上層部の命令で、江南大学都市付近で「蘇氏後輩」を監視する任務を受けていた。このような面倒な監視任務は、彼らのような門外弟子に任せられる脇役的な仕事だった。

外部の弟子として、彼の実力はそれほど強くなく、やっと一品の第二眼窍に達したばかりだった。

蘇氏後輩を見失わないように、宗門は彼に一回限りの魔法の護符を与えた。

それは赤い紙の魔法の護符で、体に貼ると八百メートル以内の三品以上の「法器」の気配を感知でき、効果は一週間続く。