第120章 食べ物はありますか？

「運転手さん、もう少し早く行けませんか？」宋書航は病院の方を見ながら、神農派のおじさんがいつ追いかけてくるか心配していた。

その瞬間、タクシー運転手は'若い恋人同士が、両親に認められず、病院で待ち合わせて駆け落ちする'といった、ドラマのような展開を想像していた。

「しっかり掴まってください！」運転手はアクセルを踏み込み、タクシーは猛スピードで走り出した……

病院では、李医者が仕事を終えて休憩に戻ってきたところ、宋書航が蘇氏阿十六を抱えてタクシーに乗り込むのを目撃した。

「あれ？さっき出て行ったのは趙雅雅の弟じゃないかな？誰かを抱えていたようだけど？あのシーツは私たちの病院のものでは？どういうことだろう？」李医者は困惑した表情を浮かべた。

考え込んでいる間に、一人の会社員風のおじさんが階段から一気に飛び降りた。十数段もある階段を、なんと一歩で飛び越えたのだ。