第173章 カッコよさは2秒しか持たない豆豆

刀身に火炎が燃え盛り、その勢いは圧倒的だった。

しかし、この火炎は宋書航が発動したものではなかった。

夢の中で「赤霄子道長」が伝授した「火炎刀法」は一見単純に見えたが、実際には大道至簡、本質に還る一刀だった。シンプルな一刀を放つだけで、世の中の万物を焼き尽くし、燃やせないものなどなかった!

百人の宋書航の才能を合わせても、一度見て一度練習しただけでこの刀法を習得することは不可能だった。

しかも、それまで彼は刀法に触れたことすらなく、宝刀霸砕を持っても無秩序に振り回すだけだった。そして、刀に火炎を宿すには、少なくとも二品の境界に達し、体内の気血の力が真気に変化する必要があった。

今、彼が放った刀の火炎は、指にはめた古銅指輪のおかげだった。

指輪には二品の火系攻撃「火炎刀」が付与されており、これは古銅指輪の元の持ち主である李天塑が特別に追加した火系攻撃だった。

実際、普通の「火炎刀法」は、金丹を凝縮した李天塑の戦力向上にはもはや寄与しなかった。この刀法を保持していたのは、師匠「赤霄子」への懐古の念と、ある種の憧れからだった。

かつて、赤霄子は李天塑との別れ際に、突然木の枝を刀として一閃し「火炎刀法」を放った。その焚天の火炎と、一瞬で炭となった大木の光景は、李天塑の心神に深く刻まれた。

李天塑は実力を上げていくにつれ、この「火炎刀法」を攻撃法術として自分の古銅指輪に付与する方法を見出した。指輪の持ち主が「火炎刀法」の構えを取り、古銅指輪の法術を発動すれば、「火炎刀法」を繰り出すことができた。

先ほど...宋書航が振り向いて放った一刀は、まさに火炎刀法の構えだった。そして心窍、眼窍の気血の力が沸騰した時、古銅指輪の法術が発動したのだ!

夢の中の「赤霄子」のような焚天の姿はなく、刀の火炎も全てを燃やし尽くすほどではなかった。しかし、それでもこの「火炎刀法」は二品級の全力一撃の威力を持っていた!

刀の烈火が熱波となって、敵へと斬りかかった!

葵花修士は目の前に熱波が押し寄せるのを感じたが、避けることができなかった——「青風加速」が付与されて速すぎ、止まることもできなかった!

つまり、スピードの出しすぎは危険なことなのだ。

このように、自身の速度を制御できない彼は、迫り来る火炎の熱波に向かって突っ込んでいった。

火炎の中、鋭い刀光が一閃した。