第184章 白馬の青衣の少年

黄色い砂が至る所にあり、雑草一本もなく、死のような静寂が広がっていた。

宋書航は苦笑いを浮かべた。砂漠での生存方法など学んだことがなかったのだ。しかも、今の修為では辟穀もできず、今日は辟穀丹も持ってきていなかった。

もしかして、彼の人生はついにピリオドを打つことになるのか——2019年7月3日、宋書航、異世界転移。

そして、死亡?

「こんな形で死にたくないよ、諦めるわけにはいかない……家のドアを開けた時にこの砂漠に送り込まれたんだ。白先輩と豆豆が家にいれば、何か異常に気付いてくれるはずだ」宋書航は太陽穴をさすりながら、冷静に分析した。

白先輩の七品の霊尊としての修為があれば、異常に気付いたら自分を救出できるはずだ。

今の自分がすべきことは、持ちこたえることだ。可能であれば、この砂漠から脱出したい。少なくとも……まずは水源を見つけなければ。

携帯電話をしまい、宋書航はできるだけ直線的にこの砂漠を歩き続けた。

この砂漠は何もない荒涼とした場所で、目印となるものが一つもなかった。さらに空には太陽も月も星もなく位置を確認できず、宋書航は眼窍を開いて優れた視力を持っていても、直線を保ち続けるのは困難だった。彼にできることは精一杯努力することだけだった。

そういえば、この砂漠には不思議な点が多い。空に太陽はないのに、砂漠は昼のように明るく、しかも熱気が立ち込めている。この光と熱はいったいどこから発せられているのだろう?この世界は energy保存の法則に従わなくていいのか?

……

……

歩き続けること約10分。

宋書航の目の前に広がるのは相変わらず黄色い砂ばかりで、植物も動物もなく、砂以外には何もない、死のような静寂が続いていた。

こんな単調で白々しい世界にいると、長時間いれば精神が破壊されかねない。

「ハエが一匹でもいればいいのに」宋書航は嘆息した。今ならハエが一匹いても、うるさいブンブン音も気にならないだろう。

そう嘆いていた時、突然遠くから心地よい鈴の音が聞こえてきた。

目を凝らすと、砂漠の遠くに一人の人と一頭の馬がゆっくりと近づいてくるのが見えた。

それは白馬を引く青衣の少年で、15、6歳ほどの年齢で、唇は紅く歯は白く、肌は玉石のように美しい、実に端正な少年だった。

ついに生きている人間に会えた!宋書航は心の中で感嘆した。