第233章 所謂プリンス_2

過去の伝説が今、上演される。

忘れられた王子が再び敵の前に立ち上がる。

高らかなホルンの音がメロディの中から響き渡り、無数の幽霊の歓声の中、垂れ幕の向こうから、かすかで高揚した歌声が聞こえてきた。

それは……

槐詩の瞳が縮んだ。そして、王子の詠唱が聞こえてきた。

"To be, or not to be: that is the question……"

千古に伝わる名作を詠唱しながら、王子は手にした剣の刃を掲げ、哀愁と高揚の歌声の中で、まるで自らの運命を握りしめるかのようだった。

伝説の王子、伝説のナイト、今この瞬間、槐詩の目の前に佇んでいた。

栄光のハローが彼の頭上から昇り、輝く光が彼の剣の刃に凝結し、白馬の嘶きとともに、巨大な翼が体から広がり、空気を巻き上げ、ハリケーンを起こし、空へと舞い上がった。

「天馬?」

槐詩は目を見張って口を開けたまま、天穹の上に高く構える王子を見上げた。「戦いにBGMをつけるのはまだいいとして、魔法みたいなことまでして、これは行き過ぎだよ!」

「聞け、槐詩よ!」

天球の上で、王子は大きく笑い、誇らしげに両腕を広げた。「これこそが昔日の我らが悲歌、これこそが我が民が心から私に捧げる讃美と賞賛なのだ。

王子とは、一人では成り得ぬもの!民と国土を守護せぬ王子が、乞食と何の違いがあろうか?」

垂れ幕の向こうで、少女の歌声が次第に高まり、魂を揺さぶるメロディの中で、白馬が嘶き、一本の角を生やし、太陽のような光を放った。

続いて、疾風が吹き荒れ、天馬が駆けてきた。

轟!

たった一撃。

槐詩は後ろに飛び出し、目の前が暗くなるのを感じた。

そして馬蹄の音が近づき、白馬が空中を踏みしめると、まるで太鼓のような轟音を立て、幕の向こうの讃美が再び頂点に達し、冷たい女性の声が上へと迸り、信じがたい高音が運命への嘆きと抵抗へと変わった。

無数の合唱が響き渡る。

王子の利刃の上で、光芒が燦然と輝く。

斬落!

槐詩は再び後退し、両腕の感覚を失い、再び数メートル後ろに飛ばされ、ワッと鮮血を吐き出し、目を見張った。

ロングスピアが、体を支えた。

彼は遠くで余裕を見せる王子を凝視しながら、心の底から無力感を覚えた。

ただ翼が生えただけなのに、ただ力が少し強くなっただけなのに、ただ光を放てるようになっただけなのに……でも、どうすることもできないと感じた。

まるで何百何千もの人々が彼の後ろについているかのようだった。

王子は自分の王国、自分のステージに立ち、万民が彼の偉業と威厳、公正と賢明さ、優しさと決断力を讃えている。

伝説が、この歌声の中で真に降臨したのだ。

「BGMなら、私にもあるよ……」

槐詩は斧子を抜き、振り回すと、幻覚のようにチェロの音が彼の後ろの垂れ幕から響いた。そんなに低く、しかし王子が剣を抜き、再び斬りかかると。

轟く交響曲が孤独なチェロの音を粉砕した。

槐詩はよろめきながら後退した。

「だめだな、槐詩、だめだ。」

王子は見下ろすように狼狽える相手を見て、その未熟さに不快感を示した。「永遠に一人では、永遠に勝利を得ることはできない。ただ一人では、王子の資格もないのだ!そんな心構えで私に挑戦してきたのか?」

槐詩は激しく咳き込みながら、喘ぎ、「正直、そこまで考えてなかった……知っていれば、プレーヤーを持ってきたのに。」

「考えろ、少年よ、よく考えろ……このステージは、器量を見せる時ではないのか?」

王子は白馬を進め、一歩一歩前進しながら、怒鳴った。「だが、お前が奮闘する王国は一体どこにある!お前が守護する民は何処にいる!

槐詩よ、もしお前がそれほど浅はかならば、必ず敗北を喫するだろう!」

所謂王子の物語とは、このようなものではないか?

王にはならず、古城に隠れて人々から最も遠い椅子に座ることもない。

王子は白馬に乗り、自らの国土を巡る。

永遠に若く、永遠に輝かしい。

まるで最も優しい夢のように。

だからこそ、無数の民に愛され、だからこそ、多くの希望と憧れを託されるのだ。永遠に正義で、永遠に優しく、国民の期待を背負い、百戦百勝、凛々しく、決して人々を失望させない。

だから百戦百勝なのだ。

だから星屑のように輝くのだ!

「申し訳ありません、お殿下。」

槐詩は彼の輝かしい姿を凝視し、羨望のため息をついた。「誰もがあなたのようになれるわけではないのです……」

そういうものは、自分は一度も持ったことがないのだろう?

結局のところ、王子なんて……自分は最大限老柳についてGigoloの真似事をするくらいで、それも子分として、酒をかけられ嘲笑され、エモティコンにされる程度だ。

魔法の長い髪や魔法の双手を手に入れ、小動物と話せるようになり、面倒を解決してくれる人がいたとしても、それだけでは王子とは言えないだろう?

どんなに立派な偽物でも、本物に出会えば、正体がばれてしまう。

KTV王子なんて王子じゃない!

彼は目を閉じ、肺の中の焦りを吐き出し、武器を握りしめ、王子に挑戦を申し込んだ。

「さあ、お殿下。」彼は低い声で言った。「あなたの敵はここにいます。」

「守るべき国土すら見つけられないとは?」

王子は憐れみの目を落とし、剣の刃を握りしめた。

「では、この戦いを終わらせよう……」

彼は静かに呟き、馬蹄が地球を打つ。

威厳ある光の中で、天馬が飛翔し、万民が讃美する。

王子は威厳を持って光芒の剣を高く掲げ、槐詩めがけて駆けてきた!

続いて、無尽光芒が斬り落とされる!

槐詩は咆哮し、唸り、手にしたロングスピアを掲げ、前方に突き出した。

その瞬間、轟音が爆発した。

ハリケーンが巻き起こる。

銃の刃と剣の刃がぶつかり合う!

まさか……防いだ?

槐詩は信じられない様子で目を見開いた。

「ばか野郎。」

烏のため息が耳元で響く。「後ろを見ろ。」

そして、死んだ静けさの中、全員が聞いた——槐詩の後ろ、ステージの端、あの空っぽな垂れ幕の中で、扉を開ける音が響いた。

「パイプオルガンですか?」

老いて優雅な声が響く。「私は少しばかり心得がありましてね。」

そして、椅子が引かれた。

ピアニストが着席する。

かすかな騒がしさと混乱が続いて、扉の向こうから途切れ途切れに低い足音が響き続け、劇場に入ってきた。まるで視聴者が入場してくるかのように。

駝背の老人たちや婦人たちが痩せた子供たちの手を引き、風の砂の気配を帯びながら、忘れられた物語からここにやってきて、不安そうに視聴者たちを見つめ、最後に、合唱団の椅子に座った。

続いて、冗談を言い合う水夫たちが入ってきた。パイプをくわえた船長が先頭を歩き、椅子の前のトロンボーンを拾い上げ、振り返って命じた。「君たちは太鼓を叩きなさい。叩けない者は声を合わせて叫べばいい。」

水夫たちはそれぞれの位置につき、そして次々と影が扉の向こうから現れ、自分の場所に来て、不器用そうに目の前の楽器を手に取り、使い方が分からない様子だった。

瞬く間に、無数の人の影が垂れ幕の向こうの演奏席を埋め尽くし、かつての物語の登場人物たちがこの不思議なステージに再現され、自分たちの救い主のために楽器を掲げた。

最後に、ソフトな足音が前に進み出て、細い影が最前列に立ち止まった。船長はパイプを外し、驚いたように「お嬢さん、歌うのかい?」

「はい。」

少女の久しぶりの声が笑う。頭を上げ、ステージを見上げる。あの薄い垂れ幕越しに、彼女は静かに尋ねた。「もう一度始めてもいいですか、槐詩先生?」

「……ああ、いつでも。」

短い沈黙の後、槐詩はゆっくりとうなずき、胸の中の喜びと感謝を必死に抑えながら、目に涙を浮かべた。

長い間待っていた王子を見上げると、彼は笑顔を見せた。

「ご覧になりましたか?お殿下。」

槐詩は再び手の武器を掲げた。「私の民が私を探しに来てくれました。私の国土は、ここにあるのです!」