第719章 無形の力!(5番目)

エレベーターの中で葉辰は煙草を手に持ち、無表情だった。

本来なら彼は階下で魏穎を待つつもりだった。魏穎がLINEですぐ下りると言っていたからだ。

しかし、五分間も待ち、煙草を何本も吸ったが、彼女の姿は見えなかった。

やはり女性の言う時間は当てにならない。少なくとも三十分から数え始めないといけないだろう。

魏穎がなかなか出てこないのを心配して、彼はエレベーターで上がって催促するしかなかった。

しかし、思いもよらず、十階で事件が起きていた!

エレベーターのドアが開いた瞬間、葉辰は異変を感じた。

霊気の波動!

瞬時に、表情が完全に暗くなった。

視線は狼狽し、危険な状況に陥っている魏穎に向けられた!

靴箱の横に倒れている魏穎も葉辰を見つけ、救いの藁をつかむかのように急いで叫んだ。「葉辰!」

卓雅はその声を聞き、冷ややかに鼻を鳴らし、力を急激に増した!

「死に際まで無駄口を!」

その乱れた真気の平手が魏穎の頬に触れようとした瞬間、一つの破空音が突然響いた!

一本の煙草が空を切り裂いて卓雅に向かって飛んでいった!

速度が速すぎる!

空気中でジジッという音と、激しい火花が散っていた!

眩しいほどに!

卓雅は背後の危機を感じ取り、手を引こうとしたが、もう間に合わなかった!

「プッ!」

一本の煙草が矢のように卓雅の手を貫いた!

血液が染み出し、梅の花が咲くかのようだった!

同時に、目に見えない力が煙草から爆発するように広がった!

「バリッ!」という音とともに、煙草はその場で粉々に砕けた!

卓雅も気圧で吹き飛ばされ、リビングの木製テーブルに激しく衝突した!

テーブルはその場で粉々に砕け、無数の木片が飛び散った!

これはまだ終わりではなく、一つの残像が全員の視界を横切った。

速度は極めて速かった。

影が玄関を通り抜けた瞬間、直接魏穎を抱き上げた。

しなやかな体が腕の中に収まり、瞬間移動。

狂風が巻き起こり、数秒後、二つの人影がようやく完全に止まった。

葉辰と魏穎は十数メートル先に現れていた。

一時的に安全な場所に。

葉辰は魏穎の蒼白な顔を一瞥し、拳を握りしめながら心配そうに尋ねた。「こいつらに怪我させられなかったか?」