第270章 1剣斬り!

秦玉の体を包んでいたのは、まさに霊火だった!

霊火は至陽の物であり、蠱虫の天敵なのだ!

すべての蠱虫は、霊火の威圧の下、数メートル離れて逃げ出した!

秦玉が指を弾くと、また一筋の霊火が江古の体に落ちた。

瞬時に、江古の体からは豆を炒めるようなパチパチという音が響いた。

江古は急いで地面から立ち上がり、恐怖を感じながら自分の体を見つめ、冷や汗を流した。

これらの蠱虫は、あまりにも恐ろしかった!

なるほど、誰もが西南に深入りしたがらず、地殺谷に入ろうとしないわけだ!

「ありがとうございます、秦さん」江古は秦玉に向かって礼を述べた。

秦玉は何も言わず、冷たい目つきで周囲を見渡した。

蠱虫たちは近寄ってこないものの、散り散りになることもなかった。

彼らは秦玉と江古を取り囲み、前に進ませなかった。

「霊火か?」暗がりから、その老人の声が再び聞こえてきた。

「しかも青色霊火とは?」彼の声には、貪欲さが滲んでいた。

明らかに、地殺谷でさえ、青色霊火に対して憧れを抱いているようだった!

秦玉は何も言わず、手のひらを上げ、霊火の玉を前方に投げた。

一瞬のうちに、無数の蠱虫が霊火の燃焼によって死骸となった。

暗がりの老人は冷たく叱責した:「霊火は消耗が激しい、どれだけ持ちこたえられるか見物だ!」

その言葉が終わるや否や、周囲の蠱虫は数倍に増えた!

「起!」

そして、老人は暗がりで怒鳴り続けた!

無数の蠱虫が空へと飛び上がっていった。

空を覆い尽くす蠱虫によって、この渓谷は真っ暗になった!

そして、陰気を帯びたこれらの蠱虫は、空中で巨大な人型を形成した!

漆黒の巨人は、少なくとも三階建ての建物ほどの高さがあった!

天地を覆う陰気は、人々に冷や汗を流させるほどだった!

「はっはっは!お前の霊火がどれだけ持つか見てやろう!」老人は冷笑を浮かべ続けた。

秦玉は無言のまま、霊火を握りしめ、一歩踏み出して巨人に向かって突進した!

「シュバッ!」

秦玉の霊火に包まれた拳は、刃物のように蠱虫を引き裂いた!

この一撃で、少なくとも数千の蠱虫が命を落とした!

しかし秦玉を驚かせたのは、すぐに新たな蠱虫が補充されてきたことだった!

「ふむ?」秦玉は眉をひそめた。

この地殺谷には一体どれだけの蠱虫がいるのか?