秦玉の言葉に、灰冥は激怒した。
彼の表情は冷たくなり、殺気が漂い始めた。
「図々しい奴め、本当に私を恐れていないとでも思っているのか!」灰冥の全身から陰気が噴出し、一筋また一筋の黒い光が、彼の丹田から迸り出た。
峡谷全体が、不吉な気配に包まれた。
この気配は無視できないほどのもので、江古でさえも警戒を示した。
「秦玉、お前は何度も地殺谷の邪魔をしてきた。今日お前を殺さなければ、地殺谷の谷主を名乗る資格などない!」
灰冥は怒りの咆哮を上げ、丹田内の光が中央の肉体へと流れ込んでいった!
「皆、地殺谷の復興のために命を捧げよ!」灰冥は再び怒鳴った!
彼は手を上げ、天を支えるような姿勢を取った!
瞬時に、八人の長老たちの顔が歪み、丹田内の気が強制的に吸い取られていった!
「谷主、あなたは...」長老たちは苦痛に耐えながら、灰冥を見つめた。
灰冥は冷笑して言った。「地殺谷のために命を捧げることは、お前たちの栄誉だ。」
その言葉とともに、八人の長老の気は完全に吸い取られた!
そしてその時、灰冥の眉間から一つの人影が飛び出した!
人影は猛スピードで、その聖体に向かって突進していった!
「秦さん、まずい!奪体を完成させてはいけません!」江古は焦って叫んだ。
秦玉は眉をしかめた。彼は灰冥の意図を見抜いていたが、今となっては手を出すのが遅すぎた。
「あの肉体は...並ではないな。」秦玉は顎を撫でながら、呟いた。
しかし彼の心には恐れはなく、むしろ興奮の色が見えた!
修行の道に入って以来、秦玉は自分の肉体より強い者に出会ったことがなかった!
目の前のこの聖体は、おそらくその一つになるだろう!
「来い、その所謂聖体の実力を見せてもらおう。」秦玉は地を踏み、瞬時に金色の光が全身から放たれた!
光に包まれた姿は、まるで金色の鎧兜を纏ったかのようだった!
一方、陣台の中心にある男の遺体は、黒い気に包まれ、パチパチという音が響き渡った。
「轟!」
間もなく、陣台の中心から大きな震動が発生した!
峡谷全体が轟音を響かせ、遠く離れた地牢でさえもこの気配の影響を受けた!
「何が起きているんだ?」後に続いていた程才と唐霊は、顔色を変えた。
彼らは遠くを見つめ、目に驚きの色を浮かべていた。