第273章 混沌体VS聖体

秦玉の言葉に、灰冥は激怒した。

彼の表情は冷たくなり、殺気が漂い始めた。

「図々しい奴め、本当に私を恐れていないとでも思っているのか!」灰冥の全身から陰気が噴出し、一筋また一筋の黒い光が、彼の丹田から迸り出た。

峡谷全体が、不吉な気配に包まれた。

この気配は無視できないほどのもので、江古でさえも警戒を示した。

「秦玉、お前は何度も地殺谷の邪魔をしてきた。今日お前を殺さなければ、地殺谷の谷主を名乗る資格などない!」

灰冥は怒りの咆哮を上げ、丹田内の光が中央の肉体へと流れ込んでいった!

「皆、地殺谷の復興のために命を捧げよ!」灰冥は再び怒鳴った!

彼は手を上げ、天を支えるような姿勢を取った!

瞬時に、八人の長老たちの顔が歪み、丹田内の気が強制的に吸い取られていった!

「谷主、あなたは...」長老たちは苦痛に耐えながら、灰冥を見つめた。

灰冥は冷笑して言った。「地殺谷のために命を捧げることは、お前たちの栄誉だ。」

その言葉とともに、八人の長老の気は完全に吸い取られた!

そしてその時、灰冥の眉間から一つの人影が飛び出した!

人影は猛スピードで、その聖体に向かって突進していった!

「秦さん、まずい!奪体を完成させてはいけません!」江古は焦って叫んだ。

秦玉は眉をしかめた。彼は灰冥の意図を見抜いていたが、今となっては手を出すのが遅すぎた。

「あの肉体は...並ではないな。」秦玉は顎を撫でながら、呟いた。

しかし彼の心には恐れはなく、むしろ興奮の色が見えた!

修行の道に入って以来、秦玉は自分の肉体より強い者に出会ったことがなかった!

目の前のこの聖体は、おそらくその一つになるだろう!

「来い、その所謂聖体の実力を見せてもらおう。」秦玉は地を踏み、瞬時に金色の光が全身から放たれた!

光に包まれた姿は、まるで金色の鎧兜を纏ったかのようだった!

一方、陣台の中心にある男の遺体は、黒い気に包まれ、パチパチという音が響き渡った。

「轟!」

間もなく、陣台の中心から大きな震動が発生した!

峡谷全体が轟音を響かせ、遠く離れた地牢でさえもこの気配の影響を受けた!

「何が起きているんだ?」後に続いていた程才と唐霊は、顔色を変えた。

彼らは遠くを見つめ、目に驚きの色を浮かべていた。