薛虎が指さした方向に目をやると、秦玉は背筋の伸びた、鋭い眼光を持つ中年の男を見つけた。
その顔には何の表情もなかったが、威厳が自然と漂い、人々は直視することができなかった。
「あの人が葉青なのか?」秦玉は小声で呟いた。
秦玉は彼の実力を感じ取ろうとしたが、葉青は古井のように底が見えず、まったく見通せなかった。
葉青の到来により、その場の雰囲気は一気に最高潮に達した。
多くの人々が前に進み出て、葉青に挨拶を交わした。
葉青はそれぞれに頷きを返すと、静かにその場に座った。
「葉青はすべての戦士の究極の目標なんだ」薛虎は小声で呟き、葉青を見る目には敬意が宿っていた。
確かに、葉青の醸し出す気質は並々ならぬもので、思わず頭を下げて崇拝したくなるような存在感があった。
葉青の到来とともに、今回の試合も正式に開始となった。
数十門の大砲が天に向かって轟き、その後、各長官の挨拶が続いた。
その間、葉青はずっとその場に座ったまま、一言も発しなかった。
「上層部の検討により、今回の試合には急遽新種目が追加されることになりました」と司会者が告げた。
「十八名の選手による試合の他に、今回は主教練も試合に参加することになり、最終結果は審査団による採点となります」
この発表を聞いて、会場は騒然となった!
この突然の種目追加に、多くの人々は戸惑いを隠せなかった。
多くの主教練は、訓練の経験は豊富でも、自身の実力は必ずしも高くないからだ。
いざ試合となれば、惨めな結果になることは目に見えていた。
「竜さん、お前の主教練は大変なことになりそうだな」孫さんはにやにやしながら言った。
龍長官は軽く鼻を鳴らし、「秦玉は我が楚州で名を馳せた天才だ。彼の戦績を聞けば、お前は驚いて死ぬかもしれんぞ」と言った。
孫さんはそれを聞くと、大声で笑い出した。「楚州なんて小さな地方に、どんな人材がいるというんだ?どんな戦績か聞かせてもらおうじゃないか。本当に驚いて死ねるかどうか、試してみようじゃないか」
龍長官は冷ややかな表情で言った。「江北地区の古太初は秦玉の手に敗れた。あの古太初は五品大宗師だぞ!」
これを聞いた孫さんは、首を振って笑い出した。