「武聖からの力だと?」小魚は顔色を変え、周りの人々も八字髭の方を見た。
八字髭は暗い表情で言った。「その通りだ。この力は間違いなく武聖から来ている。」
「つまり、今の小黒は武聖の力を使っているということですか?」誰かが尋ねた。
八字髭は眉をひそめて言った。「そう言えるだろう。だが、本物の武聖と比べれば、小黒の発揮している実力は遥かに劣る。」
「小黒の実力が本物の武聖に及ばないとしても、武侯とは比べものにならないはずだ。」そのとき、傍らから誰かが進み出て言った。
「ああ、私も聞いたことがある。かつて数百人の武侯が一人の武聖を包囲しようとしたが、最後は全員がその武聖の手にかかって死んだという。」
「そう考えると、秦玉は厄介なことになりそうだ。」
「この小黒は京都武道協会の者だ。彼らは想像を超えた手段を使ってくるに違いない。」
一瞬にして、全員の顔に深刻な表情が浮かんだ。
「小黒が勝っても卑怯な勝ち方だ。秦玉が負けても、それは誇りある敗北だ。」誰かが冷たく言った。
前方では、秦玉が小黒に宙に持ち上げられていた。
彼の黒い手が秦玉の頭を掴み、その巨大な力で秦玉は耐え難い痛みを感じていた。
「どうした?秦玉よ、お前の実力はどうした?」小黒は嘲笑した。
「もうダメなのか?これがお前の限界か?」
秦玉は口から血を流し、重傷を負っていた。
彼は逃れようと試みたが、今の小黒の力は途方もなく大きく、まったく振り解くことができなかった。
「小黒、早く彼を殺せ!」琴ばあやが叫んだ。
彼女は秦玉の身に多くの可能性が秘められていることをよく知っていた。
小黒は琴ばあやを一瞥し、その後冷笑して言った。「秦玉、聞こえたか?琴ばあやがお前を殺せと言っている。」
「琴ばあやにそこまで気にかけられるとは、お前も成功したと言えるな。」
話しながら、小黒は秦玉の頭を掴む手に、さらに力を込めていった。
「ああっ!!」
激痛に、秦玉は苦痛の叫びを上げた。
頭蓋骨が砕かれそうな感覚で、神識まで震えていた。
「五岳の尊山!」
その時、秦玉は突然大声を上げ、法器を召喚した!
五岳の尊山が瞬時に小黒に向かって轟然と落下した!
小黒は冷哼し、左手を上げて受け止めようとしたが、五岳の尊山は想像以上に重く、到底止められないことに気付いた!