第261章 薬の完成

秋田さんは石丸慧佳が話に割り込んできたのを見ても怒らず、にこにこしながら答え続けた。「渡辺家のお嬢様、寺田凛奈さんですよ。」

石丸慧佳:?

彼女の瞳孔が急に縮み、大声で叫んだ。「ありえない!」

彼女の激しい反応は、逆に寺田雅美がさっき強く握った指を隠してしまった。秋田さんは不思議そうに彼女を見た。「どうしたの?」

どうすればいいの?

寺田雅美は何かを思い出したようで、表情を平然と保ちながら言った。「この方が、さっきあなたが言っていた、舞踏会で目立っていた人なんですね?」

石丸慧佳:……

彼女は誰かにぴしゃりと平手打ちされたような気がして、頬が熱くなった。

さっきまで目立ったとしても誰も欲しがらない、今でも誰も求婚に来ていないと言ったばかりなのに、どうして急に、こんなにすごい彼氏を見つけたの?