昨日、花を捨てようとしたのは一時の衝動だった。後に福山さんが捨てなかったとき、佐竹璃与は喜びで胸がいっぱいになった。
失って再び手に入れたものは、いつも一番大切にされる。
彼女は突然、傍らの寝間着を手に取り、身にまとうと、素足で外に出て、花房へと直行した。
福山さんはちょうどその鉢の花の傍に立っていて、彼女が入ってくるのを見ると、急いで言った。「あらまあ、奥様、ご覧になってください…」
彼女は璃与にスリッパを履かせ、璃与はすぐに花の前に駆け寄った。
刺激的な臭いはまだあったが、虫はもういなかった。
花はまだ元気がなさそうだったが、死んではいなかった。
福山さんは花を指さして言った。「虫は本当にいなくなりました。この鉢の花は助かったのでしょうか?」
璃与は首を振り、眉をひそめてその鉢の花を見つめた。「まだわからないわ。虫はいなくなったけど、刺激で逃げただけよ。花が虫に汚染されたから、枯れてしまうかもしれない。」