昨日、花を捨てようとしたのは一時の衝動だった。後に福山さんが捨てなかったとき、佐竹璃与は喜びで胸がいっぱいになった。
失って再び手に入れたものは、いつも一番大切にされる。
彼女は突然、傍らの寝間着を手に取り、身にまとうと、素足で外に出て、花房へと直行した。
福山さんはちょうどその鉢の花の傍に立っていて、彼女が入ってくるのを見ると、急いで言った。「あらまあ、奥様、ご覧になってください…」
彼女は璃与にスリッパを履かせ、璃与はすぐに花の前に駆け寄った。
刺激的な臭いはまだあったが、虫はもういなかった。
花はまだ元気がなさそうだったが、死んではいなかった。
福山さんは花を指さして言った。「虫は本当にいなくなりました。この鉢の花は助かったのでしょうか?」
璃与は首を振り、眉をひそめてその鉢の花を見つめた。「まだわからないわ。虫はいなくなったけど、刺激で逃げただけよ。花が虫に汚染されたから、枯れてしまうかもしれない。」
これが彼女がずっと薬を使わなかった理由だった。
殺虫剤は花自体にも害があり、蘭はあまりにも繊細すぎるのだ!
だから彼女はずっと躊躇していて、手を出す勇気がなかった。それなのに、隣の小娘に先手を打たれてしまったのだ。ああ!
福山さんは周りを観察して、口を開いた。「奥様、この鉢の花は以前より良くなったように思います。以前、虫害があったときも、この花はしおれていましたが、今日の花はまだマシではありませんか?この花は想像していたほど繊細ではないのかもしれません。」
璃与は眉をひそめた。
福山さんは舌打ちして感心した。「そういえば、昨日あの小娘の民間療法で、私たちの花が助かったんですね!ハハハ、奥様、もしかしたら5日前にこの花に薬をかけていたら、今頃はもう元気になっていたかもしれません!あなたが大切にしすぎて、傷つけるのを恐れて、手を出せなかっただけなんです!」
璃与は少し躊躇した。「そうかしら?でも、以前ある鉢の花に殺虫剤をかけたら、花がすぐに腐って、根まで駄目になってしまったことを覚えているわ。もう二度と生えてこなかったの。」