「くそ、臭いがきついな!」
木田柚凪は姉御肌の口調で、遠慮なく言った。「私の大好きな香水の香りが、全部台無しになっちゃった!」
寺田凛奈は彼女を一瞥して言った。「だから外でって言ったのに、室内でやりたいって言ったのはあなたでしょ……」
木田柚凪:「だって部屋の中なら座れると思ったんだもん。早く、庭に運んで。どこに置くの?」
寺田凛奈は辺りを見回し、庭に大理石のテーブルがあるのを見つけると、そこに歩み寄り、蘭の鉢を置いてから、自分で調合した薬液を少し噴霧した。
丁寧に周囲に噴霧している時、突然怒鳴り声が聞こえた。「やめなさい!」
寺田凛奈は驚いて、木田柚凪と共に入り口の方を見た。そこには福山さんが両手を腰に当て、まるで雛を守る母鶏のように二人の前に駆け寄って来て、立ちはだかった。「この花に何をしようとしているの?」