電話はすぐに出られ、向こうから清らかな女性の声で丁重な挨拶が聞こえた。「先生、何かご用でしょうか?」
三原御医の息子は、父親に一人の直弟子がいて、女性だということは知っていたが、会ったことはなかった。しかし、二人は何度も電話で話をしていた。
彼は咳払いをして言った。「師妹、私だ。」
「師兄、何かありましたか?」
三原御医の息子は口を開いた。「こういうことなんだ。ここに五十嵐安神丸を高値で購入したい人がいるんだけど、時間があったら父のために一粒作ってくれないかな?」
相手の声は怠そうだった。「師匠が売るんですか?」
三原御医の息子はうなずいた。「ああ、相手は2000万円で買うと言っている。」
電話の向こうの寺田凛奈は「…………」
安神丸を作る薬材の中で、500年人参が一番高価で、他のものを全部合わせても最大で数十万円程度だ。その人参だって、オークションで1000万円もあれば買えるはずだ。