第264章 寺田家に認められる!

藤本凜人の彼女は寺田凛奈だ。

  寺田凛奈は寺田家の人間だ。つまり、これは政略結婚ではないのか?

  寺田真治はこの言葉を小さな声で言った。他の人々は聞き取れなかった。寺田史之助が尋ねた。「兄さん、何て言ったの?」

  寺田真治は咳をして、「なんでもない」と答えた。

  寺田史之助は頷いた。「そうだな。我々二家は以前から政略結婚を約束していたんだ。だから藤本凜人は必ず寺田家の人間と結婚しなければならない。彼がこうして約束を破るのはどういうことだ?寺田雅美を何年も待たせただけじゃないか?」

  寺田真治はこの言葉を聞いて、寺田史之助を一瞥したが、何も言わなかった。

  寺田雅美は俯いて言った。「次兄、もういいわ。先に食事をしましょう」

  一行は夕食を済ませ、他の人々は憤慨しながら去っていった。みんなが帰った後、寺田雅美が階段を上ろうとしたとき、寺田真治に呼び止められた。「雅美」