寺田雅美は銀行カードが盗難されたとは思っていなかった。
結局、藤本凜人と付き合っているのだから、そんなことをするはずがない。彼女の唯一の考えは、信用に問題が生じたということだった。
世の中にはクレジットカードを借りて返さない人が多いじゃないか?
それだけでも恥ずかしいことだ。
しかし、そう思った途端、支店長が興奮して口を開いた。「寺田様、何おっしゃっているんですか?何を捕まえるんですか?我々はただ銀行にお客様としてお越しいただきたいだけなんです!どうして捕まえるなんてことがありますか?」
「……」
一言で、部屋の中が一瞬静かになった。
寺田雅美は驚いて、信じられない様子で彼を見た。
支店長が話し始めた。「あなたは我が銀行の貴重なお客様です。今回京都でお会いできたので、ぜひお招きしたいと思います。それに、あなたの残高について資産運用はいかがですか?元本保証で、利息は5%ですよ!この利率は少し低いかもしれませんが、お金をそのまま置いておくのはもったいないと思いませんか?あるいは近々投資のご予定はありますか?」