レジ係:「……」
10本、10本、100本、また100本……
店の在庫の缶詰がなくなるまでスキャンしても、カードはまだ限度に達していなかった。
寺田治は呆然としていた。「これ、一体いくら入ってるんだ?」
レジ係:「……」
寺田治は手を振った。「もういいよ、残りはここに置いておいて。明日取りに来るから!」
レジ係はようやくほっとした。
さっきは本当に怖かった。目の前のこの金持ちが怒って、お店ごと買い取ってやる!なんて言い出すんじゃないかと。
寺田治はペットフード店を出た後、手にしたキャッシュカードを見つめた。さっきペットフード店で来月一か月分の猫用と犬用のフードを買って、合計30万円使った。
でもこのカード、まだ限度に達する気配がない。
彼は銀行に行って、残高がいくらあるのか確認することにした!
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携帯電話がようやく静かになった。
寺田凛奈は携帯の通知で寺田治が約30万円使ったのを見て、それがペットフード店でのものだったことから、彼が来月一か月分の猫用と犬用のフードを注文したことを知った。
でも一気に決済すればいいのに、なぜ89円、890円というように決済したんだろう?
彼女は首を振って、理解できず、携帯をポケットに入れてしまった。
顔を上げると、向かいに座っている寺田芽と藤本凜人の父娘が、大きな目と小さな目、4つの好奇心に満ちた目で彼女を見つめているのが見えた。
藤本凜人は何も言わなかった。
寺田芽が尋ねた。「ママ、さっき誰からメッセージだったの?」
寺田凛奈は杏色の目を上げて彼女を一瞥した。「誰でもないわ。」
その言葉が落ちるや否や、静かな声が聞こえてきた。「誰でもない人が157通のメッセージを送ってきたの?」
寺田凛奈:???
寺田芽:???
二人が一斉に藤本凜人を見ると、いつもは深遠な目をしている彼が、今は無邪気な目で彼女を見ていた。目尻のほくろまでが少し委屈そうに見えた。まるで彼女が彼の背後で何かをしでかしたかのように。
寺田凛奈:「……」