第322章 あなたを楽勝させてあげる〜

「苏叶に娘ができた」と叫んだ後、老いぼれの目つきはまた徐々にぼんやりしてきた。

  彼はさっき何を言ったのか忘れたかのようで、また覚えているかのように、「寺田亮に娘ができた、寺田亮の娘が彼を探しに来た……」と繰り返していた。

  そして頭を下げ、手の中に握りしめていたケーキを食べ続けながら、慣れた様子で彼が住んでいる前庭の平屋へと歩いて行った。

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  翌日、寺田凛奈が目覚めたとき、リリからの検査結果のメッセージはまだ届いていなかった。今回は国際宅配便を利用したため、M国に到着するまでに2日かかるからだ。

  寺田凛奈はあくびをしながら起き上がると、建吾がすでに寺田真治に連れられて学校に行っているのを見て、階下に降りた。

  階下に降りると、リビングの雰囲気がおかしいことに気づいた。