第320章 私はバレてしまった

藤本凛人に寺田凛奈が目配せをして、突然素早く横に滑り込んだ。

  寺田洵太は一瞬戸惑い、追いかけようとした。「おい、どこに行くんだ……」

  しかし、腕を藤本凛人に掴まれ、男は冷ややかに答えた。「彼女は少し用事があるんだ。」

  「何の用事だよ?もうすぐ申し込み締め切りだぞ!今日が最終日なんだぞ!」

  藤本凛人は彼の手を放さなかった。「俺たち二人で申し込めばいい。」

  寺田洵太は眉をひそめた。「そんなの無理だろ?団体戦は3人全員が揃ってないと…お前…」

  言葉が途切れたところで、藤本凛人に引っ張られて申し込み所に向かった。

  寺田洵太:??

  彼は振り払おうとしたが、自分の力では振り切れなかった。これは先ほど自分が行こうとした時、寺田凛奈に腕を掴まれて行かせてもらえなかった時のことを思い出させた。