大師姉?
寺田凛奈は足を止め、藤本凜人と目を合わせた。二人は揃って大師姉の試合が行われる台に向かって歩き出した。
寺田洵太はすでにそこにいた。二人を見ると、小声で話し始めた。「君たちも来たの?大師姉の姿を一目見たくなったの?」
「……」
二人が何も言わないのを見て、寺田洵太は咳払いをして話し始めた。「大師兄は前回の武道大会に参加して、前回のチャンピオンだったから、自動的にFクラスだよ。でも大師姉は参加したことがないから、規則によってAクラスからスタートするんだ。でも大師姉はここ数日間、負け知らずで、今日この試合に勝てばCクラスに昇級するんだ。」
寺田凛奈はためらいながら尋ねた。「武道大会は何日目なの?」
「5日目だよ!」
寺田洵太は答えた後、寺田凛奈の意図を理解して続けた。「大師姉は特別な身分だから、一日に4試合が組まれているんだ。こうすれば最速で昇級できて、Fクラスに到達したら、他のメンバーの昇級を待って試合をするんだ。」
寺田凛奈:「……」
なぜ自分にはそんな待遇がないのか、チーム戦に参加させられるし。
彼女こそが瀬戸家の大姉なのに!
寺田凛奈の心に少しの不満が生まれた。瀬戸さんが彼女を登録した時、なぜ特別なルートを使わなかったのだろう?
瀬戸さんの業界での地位を考えれば、そんなことくらい簡単にできたはずだ。
彼女がそう考えていると、寺田洵太が尋ねた。「羨ましい?」
寺田凛奈はうなずいた。「羨ましいわ。」
寺田洵太:「羨ましがっても仕方ないよ。これは大師姉と大師兄だけの特権なんだ。当時、大師兄も一日に4試合をこなして、他の人より早くFクラスに到達したんだ!」
「……」
寺田洵太は彼女の肩を叩いた。「でも落胆しないで。僕たち世界第三チームは、今年一気に名を上げるんだ。Fクラスに到達すれば、来年はせいぜいEクラスに落ちるくらいだろう。10年後に武道大会に参加すれば、直接Eクラスからスタートできて、とても便利だよ。」
寺田凛奈:「……」
「それに。」