誰なんだ?
寺田凛奈は眉を上げた。「瀬戸門の人間だ」
寺田洵太:「……」
寺田凛奈は寺田洵太を無視し、ドアの外へ歩き出した。
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一方。
辻本凌也は三人に担がれて武術大会の門を出て、車に乗せられた後、郊外の別荘に連れて行かれた。
辻本凌也が人に担がれてリビングに入ってくるのを見て、そこに座っていた背の高い体格で、緑色の目をした拳王エイビゲイルがソファーからゆっくりと立ち上がった。
エイビゲイルは身長195センチ、体重90キロ、がっしりとした体格で、全身筋肉だらけ、篠崎冠介と似たような体格だが、腕の筋肉に宿る力は篠崎冠介をはるかに上回っていた。
彼は日本語が話せず、辻本凌也を見つめながら英語で口を開いた。「本当に役立たずだな!お前にあれほどの資源を使ったのに、結果として大師姉を一人も追い詰められないとは?瀬戸門の名も知れぬ女弟子にこんなに傷つけられるとは!」
他の人なら、辻本凌也のような状態になれば、この時点で気を失って何も言えないはずだ。
しかし辻本凌也は、この道中で少し回復し、体の回復力が驚異的だった。
彼は震える唇で、ゆっくりと言った。「師匠、申し訳ありません。ですが、もう少し時間をください。決勝戦で必ず大師姉を打ち負かしてみせます!」
エイビゲイルは冷笑した。「お前の言葉、よく覚えておけよ!」
そう言うと、手を振った。他の者たちはようやく辻本凌也を担いで二階へ上がった。
二階には医療システムはなかった。
しかし、彼らは辻本凌也を部屋のベッドに投げ入れると、そのまま出て行った。誰も病院に行く話は出さなかった。
まるで、もう慣れっこになっているかのようだった。
一階のエイビゲイルは、すでに携帯電話を取り出して電話をかけていた。「ご主人様、大師姉を追い詰めることはできませんでした。しかし、辻本凌也は瀬戸門の若い女弟子に負けました」
相手は少し沈黙した。「女弟子?」
「はい」
「……大師姉はずっと出てこなかったのか?」
「はい」
「それなら、辻本凌也がまだ弱すぎるということだな」