第328章 治療?

二日目。

  寺田凛奈が目を覚まし、あくびをしながら部屋を出ると、秋田花泉が2階の小さな応接室に座っているのが見えた。彼女が出てきたのを見て、すぐに近づいてきた。「凛奈、起きた?」

  寺田凛奈はうなずいた。

  秋田花泉は明らかに彼女を待っていた。「聞いたんだけど、あの、老いぼれの病気を診るの?」

  寺田凛奈は再びうなずいた。

  以前は老いぼれのことを気にしていなかったが、後になって彼が寺田喜助かもしれないと気づいた。しかし、彼は確かに病気で、狂ってしまい、昔のことの多くを覚えていなかった。

  昨夜、寺田凛奈は考えた末、彼の診療をすることに決めた。

  脳の病気を治せば、寺田喜助と母親の昔の出来事について話してもらえるだろう。

  もちろん、老いぼれの診療は簡単なことではない。まず、彼は狂っているので、寺田凛奈は寺田家の人に常に彼を見守ってもらう必要がある。あちこち歩き回らないように。

  実際、彼女がいつも老いぼれのところに行けば、確実に他人の注目を集めるだろう。

  そこで、彼女は思い切って執事に一言言って、老いぼれの診療をすると伝えた。堂々と、余計な面倒や疑惑を避けるためだ。

  思いがけないことに、この話は一晩で寺田家の人々全員に知れ渡った。

  秋田花泉は非常に悩んでいた。「実は、三叔父さんが昔、老いぼれの診療をしたことがあるの。世界で最も有名な精神科医を呼んだけど、治せなかったって。凛奈、あなたが自分のいじゅつを証明したいのはわかるけど、老いぼれを例にする必要はないと思うの...」

  この話を聞いたとき、秋田花泉と夫の寺田史之助はこっそり話し合った。二人とも、寺田凛奈が突然この決定をしたのは、彼女の仕事に関係があるのではないかと考えた。

  医者でありながら、京都で誰も彼女に診てもらおうとしない。

  だから難病を選んで、名を上げようとしているのだろう?

  そこで秋田花泉は直接話しかけに来た。彼女は遠回しな言い方をせず、ストレートに言った。