第337章 台に上がる

この言葉が発せられると、人々の怒りが沸き起こった。

誰かが口を開いた。「大師姉、あいつを懲らしめてください!」

他の人々も即座に同調し始めた。「そうだ、大師姉、あいつを懲らしめろ!瀬戸門の恐ろしさを思い知らせろ!」

「あいつは天高く地厚きを知らないようだ!大師姉、必ず福山海優兄弟の仇を取ってください!」

「大師姉、今あいつを打ちのめしても、私たちは瀬戸門が人をいじめているとは思いませんよ!あまりにも傲慢で、本当に許せない!」

「善存堂なんて何様のつもりだ、瀬戸門に挑発してくるなんて?」

「……」

寺田洵太も側で怒り狂っていた。彼は急いで叫んだ。「大師姉、行ってください!瀬戸門の恐ろしさを思い知らせてやれ!」

大師姉を偽っていたレイエル:「……」

彼女は焦りながら群衆を見回し、どうすればいいかわからなかった。

今、台に上がれば瀬戸門の面目を失うことになる。しかし、上がらなければ、瀬戸門が怖がっていると思われてしまう。

一瞬のうちに、彼女は進退両難に陥った。

辻本凌也はさらに冷笑しながら言った。「どうした?大師姉、まだ上がってこないのか?」

寺田洵太はそこで跳ね回りながら言った。「大師姉はなぜまだ台に上がらないんだ?俺が瀬戸門の人間なら、とっくに上がって懲らしめてるのに!」

瀬戸門の人間が侮辱されたのだから、瀬戸門の人間が台に上がって顔を立て直すしかない。そうしないと、どんな噂が広まるか分からない。

しかし、福山海優は瀬戸門の中でも上位5人に入る人物だ。それでも負けてしまったのだから、瀬戸門の他の人々は恥をかくのを恐れて台に上がろうとしない。

寺田凛奈は目を細め、台を見つめた。

彼女が一歩前に踏み出したとき、突然腕を掴まれた。

寺田凛奈が振り返ると、藤本凜人が彼女を見つめていた。「あいつは故意にやっている」

確信に満ちた5つの言葉に、寺田凛奈の目が沈んだ。

そうだ。

先ほどから、彼女もそう感じていた。

この辻本凌也が入ってきた瞬間から、ずっと瀬戸門の大師姉の威厳に挑発し続け、瀬戸門の人と戦いを挑み、こんなにも手荒に扱い、さらに台の上で強気な言葉を吐いている。