第360章 私がAntiです!

石山博義の表情が曇った。

  脱獄という話になると、事態は深刻になる。

  確かに寺田凛奈は脱獄したのだが、それは彼にとって面目を失うことだった。

  しかし、彼が当時同意しなかったのは、これが寺田凛奈の言い訳にすぎないと思ったからだ。結局のところ、多くの医者でさえ救えなかった人を、彼女がどうして救えるというのだろうか?

  しかし、病院に向かう途中で、彼は老いぼれの症例を詳しく調べた。

  一部の文字は読みづらかったが、老いぼれが助からないことは理解できた!

  しかし先ほど、老いぼれは呼吸が安定し、ICU病室に移されて観察中だった。これは生き延びたということであり、彼が以前寺田凛奈を軽視し、誤解していたことを示していた!

  さらに、血液中の未知の成分もあり、すべてが彼が寺田凛奈を誤解していたことを示していた……