手術室の灯りが消えた瞬間、外で待っていた全員が立ち上がった。
みんな一斉に入り口の方を見た。
別に老いぼれに深い感情があるわけではなく、老いぼれの生死が寺田凛奈の罪の有無を決めるからだ!
寺田雅美は拳を握りしめ、心の中で祈っていた。
死んでくれ、死んでくれればこんなに面倒なことにならないのに!死んでも他のことはそれほど変わらないはず……
彼女がここで祈っている間、寺田真治も顎を引き締めていた。
彼だけが知っていた。寺田凛奈が手術室の中にいることを。でも彼女が入ったのは遅すぎた。彼女がAntiだとしても、本当に全員から死刑宣告を受けた老いぼれを救えるのだろうか?
彼は深呼吸をした。
もし老いぼれが死んだら、寺田凛奈は嫌疑を晴らせない。そして今、警察が外で待機しているので、寺田凛奈は絶対に逃げられないだろう。
石山博義が何か風聞を耳にしたのか、すでに警察を呼んで病院を水も漏らさぬほど包囲している。
寺田凛奈は今回、羽があっても逃げられないだろう!
皆が緊張して待っている時、廊下の奥から突然「パタパタ」という足音が聞こえてきた。
音が大きく、整然としていて、まるで部隊がやってきたかのようだった。
寺田真治が振り返ると、石山博義と藤本凜人の二人が大股で歩いてくるのが見えた。彼らの後ろには石山博義の私服の部下たちが続いていた。
その一団のすぐ後ろには、さらに12人の黒いスーツを着た警備員たちが続いており、藤本凜人を守っているようだった。
一群の人々が大勢でやってくると、自然と皆の注目を集めた。寺田雅美でさえ緊張し始めた。
石山がなぜ来たの?
何か分かったことがあって、彼女を捕まえに来たのかしら?
そう思った瞬間、寺田真治がゆったりと歩み寄り、尋ねるのが聞こえた。「石山さん、こんなに大勢で病院に来られたのは何かあったんですか?」
石山博義の声は重々しかった。「寺田凛奈の脱獄のことは、もう聞いたでしょう。現在、京都全体で捜索中です。藤本さんを連れてきて、彼女がここに逃げてこないか確認しに来ました。」
寺田雅美はこの言葉を聞いて驚いて尋ねた。「寺田凛奈が脱獄したの?」