寺田雅美は驚愕のあまり、全身が震えるほどだった。
彼女は信じられないという様子で叫んだ。「あっ!」
そして手が震え、針がベッドに落ちた。
彼女は唇を震わせながら言った。「お、お兄さん、あ、何をしているの?」
寺田真治は重々しい視線で彼女を見つめた。「それは私が聞きたいことだ。お前は何をしているんだ?」
寺田雅美は唇を噛み締め、言葉を飲み込んだ。「わ、私はお父さんが心配で、様子を見に来たの。」
「そうか?」
寺田真治は床に落ちた針を見下ろした。「これは何だ?」
寺田雅美はゴクリと唾を飲み込み、どもりながら口を開いた。「ビ、ビ、ビタミンよ。」
「ふん、それがビタミンだとは知らなかったな。」
突然、もう一つの低い声が聞こえてきて、寺田雅美は再び振り向いた。寺田凛奈が近づいてくるのが見えた。
彼女はベッドから注射器を拾い上げ、鼻先に近づけて嗅ぎ、さらに注意深く調べた後、結論を出した。「これはシアン化カリウムだ。0.1グラムを人体に注入するだけで、30秒以内に死んでしまう!」
寺田雅美はその注射器を見つめ、驚いて口を開いた。「こ、これは違う、そんなことを言わないで...」
「違うのか?」
寺田凛奈は注射器を彼女に渡した。「中にまだ少し残留物がある。ビタミンなら、それを飲んでみろ。そうすれば信じよう。」
寺田雅美:!!
彼女は震える指で注射器を受け取り、中で揺れる液体を見つめた。
中身が何かは、もちろん彼女が一番よく知っていた!
シアン化カリウム、安楽死に使われる薬品だ!
彼女は両手を震わせながら、結局飲む勇気が出ず、注射器を床に投げ捨てた。「なぜ私が飲まなきゃいけないの?いやよ!私はやってない!」
寺田雅美は大声で叫んだ。「これはあなたが私を陥れようとしているのよ。私はお父さんを毒殺しようなんて思ってない!」
彼女は急に気づいたように言った。「わかったわ。お父さんを治せなかったから、わざと明日目覚めるなんて嘘をついて、私に手を出させようとしたんでしょ?そうすれば、あなたの医術が下手だってバレずに済むものね。寺田凛奈、あなたって本当に陰険で狡猾ね!」
寺田凛奈は彼女がそう言うのを聞いて、病床の寺田亮の腕の上の布団をめくった。