第374章 姉、あなたの臍帯血がまだある

寺田雅美の話し方は、まるで命令を下しているようだった。

  これに店長は少し戸惑ったが、寺田家の雰囲気に慣れているようで、無意識のうちに答えた。「はい、お嬢様」

  答えた後、彼自身も呆然としていた。

  傍にいた秋田花泉と寺田凛奈も呆気にとられていた。

  二人とも寺田雅美を見つめた。

  秋田花泉は鋭い声で口を開いた。「あなた、このドレスは要らないって言ったじゃない?だから凛奈に勧めたんでしょ?」

  寺田雅美は目を伏せ、笑いながら言った。「義姉さん、誤解されているようですね。私は赤いドレスが大好きなのはご存知のはずです。今日は凛奈にとても似合うと思ったので譲ろうと思っただけです。凛奈が要らないのなら、順番通りにするべきではないでしょうか?」

  秋田花泉の顔色が一気に真っ赤になった。