寺田雅美の話し方は、まるで命令を下しているようだった。
これに店長は少し戸惑ったが、寺田家の雰囲気に慣れているようで、無意識のうちに答えた。「はい、お嬢様」
答えた後、彼自身も呆然としていた。
傍にいた秋田花泉と寺田凛奈も呆気にとられていた。
二人とも寺田雅美を見つめた。
秋田花泉は鋭い声で口を開いた。「あなた、このドレスは要らないって言ったじゃない?だから凛奈に勧めたんでしょ?」
寺田雅美は目を伏せ、笑いながら言った。「義姉さん、誤解されているようですね。私は赤いドレスが大好きなのはご存知のはずです。今日は凛奈にとても似合うと思ったので譲ろうと思っただけです。凛奈が要らないのなら、順番通りにするべきではないでしょうか?」
秋田花泉の顔色が一気に真っ赤になった。