人々が妨げるのをやめてから、寺田凛奈はようやくICU病室に入った。
入るやいなや、周囲にこの場所を守っている一群の人々がいることを敏感に感じ取った。
外の人々が意見を持っていようと反対していようと、寺田真治が彼女を病院に呼んだ瞬間から、今日この病気は必ず治療されることになっていたようだ。
彼はおそらく早くから寺田洵太をここに派遣し、密かにすべてを手配していたのだろう。
たとえDNA検査報告書がなくても、寺田雅美が反対しても、寺田真治は力づくで問題を解決できただろう。
この兄は柔和そうに見えるが、手段は強硬だ。
彼女はこれらのことを考える暇はなく、すでにベッドの前に来ていた。まず寺田亮の顔色を観察した。
彼は前回会ったときよりもさらに痩せていて、頬骨が突き出ていた。全身がベッドに横たわり、紙のように薄っぺらだった。
寺田凛奈は視線を戻し、寺田亮のカルテと撮影したCT報告書を手に取った。
彼の体は確かにあらゆる臓器が衰弱しており、最も深刻なのは脳に腫瘍ができていて、すぐに切除する必要があることだった。前回の藤本家の老夫人の状況と少し似ていた。
しかし、老夫人は80歳を超えており、体の自然な衰弱だった。
この寺田亮はまだ50歳くらいの様子で、体がこれほど衰弱しているのは本当におかしかった。
彼女が考えている間に、リリはすでに服を着替えて入ってきており、Antiの医療チームが完全に寺田亮の治療チームを引き継いでいた。
これに対して、寺田真治は何の意見も持っていなかった。
-
ドアの外。
寺田亮の主治医は、リリが寺田亮を手術室に押し入れるのを見て、怒りで行ったり来たりし、足を踏み鳴らし、寺田亮に向かって口を開いた:「寺田さん、お父様の体は手術に全く適していません!このようなことをすれば、彼を害することになりますよ!」
しかし寺田真治は何も言わず、ただ手術室を見つめていた。
主治医は口を開いた:「たとえAnti医師がどれほど優秀でも、今すべきことは、お父様にまず体を養わせ、体のすべての指標が手術の基準に達してから、手術を行うべきです!」