第390章 キスをする~

彼女は平然とした様子で尋ねた。「どんな秘密?」

  「何か聞いたのか?武術大会に参加したのか?」

  寺田凛奈は仕方なく頷いた。「そうだ」

  「やっぱりね。それに服も着替えて、お面もつけてたから、僕には分からなかったよ」寺田洵太は言い終わると左右を見回した。「武術大会に参加したんだから、僕のことは知ってるだろ?」

  寺田凛奈:?

  寺田洵太は口を開いた。「言ったじゃない?僕は我が家で一番武術の実力が高くて、今の京都でランク3位なんだ。絶対に武術大会で輝くはずだよ!僕が誰か分かる?」

  寺田凛奈:「……分からない」

  寺田洵太というバカは左右を見回してから口を開いた。「従妹、君が僕の従妹だからこそ教えてあげるよ。君だけに教えるからね?兄貴にも武術大会での僕の名前は教えてないんだ!」

  彼は言い終わると、背筋を伸ばして顎を上げた。「僕こそが琉心だ!」

  「……」

  言い終わって、寺田凛奈の反応がないのを見て、寺田洵太は彼女を見つめ、眉をひそめた。「聞いたことない?じゃあ、世界第三っていう有名なチーム名は知ってる?」

  琉心にせよ「世界第三」にせよ、地下闘技場では最近とても有名で、行ったことのある人なら誰でも彼の名前を聞いたことがあるはずだ。

  でも……

  寺田凛奈はわざと彼をからかった。「私は新参者だから、みんなが辻本凌也のことを話しているのしか聞いてないわ」

  寺田洵太:「……」

  家族の誰も彼が武術大会に参加していることを知らないので、自慢できずにいた。やっと武術大会に興味を持つ従妹を見つけたのに、なぜ自分のことを聞いたことがないんだ?

  寺田洵太は非常に困惑し、特に理解できなかった。「辻本凌也なんて大したことないよ!2年前、彼は僕の部下の一人で、ダメな奴だったんだ。琉心のことを聞いたことがなくても、世界第三というチーム名くらい聞いたことがあるはずだろ!」

  彼は最近個人名義で試合に出ていなかったので、彼の名前を聞いたことがないのはまだ正常だが、世界第三というこんなに響きのいい名前を聞いたことがないなんてあり得ない?

  寺田凛奈は部屋の中へ歩きながら言った。「それで?」