第389章 妹は兄に譲らなければ

彼が近づいてくるのを一瞥すると、寺田凛奈はGクラスの前で足を止めようとしていた足取りを一瞬躊躇し、藤本凜人に従って、Gクラスから2台分離れた普通の車の前に向かった。

藤本凜人は後ろを振り返り、寺田洵太を見たときに彼女の行動を理解したが、わざと分からないふりをして、眉を上げて尋ねた。「どうした?俺と一緒に帰りたいのか?光栄だな。」

寺田凛奈:「……」

彼女は目を転がして、口を開いた。「まじめにしてくれない?」

藤本凜人は低く笑った。「小さい頃から今まで、まじめにしろと言われたのは初めてだな。」

人前では、彼はいつも深遠で無表情だったが、彼女の前では、この男はますます自由奔放になっていった。

どういうわけか、寺田凛奈は突然二人の初対面を思い出した。

その時、男は冷たく、深遠だった。