「ちっ!」
寺田凛奈は車を走らせ、まるでレースカーのように風を切って藤本グループ第一病院に到着し、直接VIP手術室へ向かった。
寺田洵太はストレッチャーに乗せられ、手術室へ運ばれていた。
男は25歳になっていたが、おそらく長年暗闇で生活していたためか、顔色は青白く、今でも少年のような印象を残していた。
今まで常に顎を上げ、中二病っぽかった彼が、今は目を閉じ、長い睫毛には既に固まった血の痂が付いていた。
彼の手足は体の両側に置かれ、奇妙な角度に曲がっており、一目で骨が折れていることがわかった。
彼は横たわったまま、胸部の呼吸さえ見えないようだった。
寺田凛奈は息を呑み、ゆっくりと前に進んだ。
「まだ生きている」
藤本凜人は電話で言った言葉を繰り返したが、この三文字は単に彼の現在の状態を表現しているだけだった。