寺田凛奈はようやく一言一句口を開いた。「手術の最中、寺田洵太が一瞬目覚めて、二つの言葉を言った。」
寺田凛奈の目は少し虚ろだった。
十指連心。
寺田洵太の手の包帯を巻いているとき、彼は痛みで目覚め、目を開けた瞬間、自分がどこにいるのかもわからないようだった。
しかし寺田凛奈と目が合うと、彼は口元を緩めた。口を開こうとしたが、胸の気管に問題があって、声が出なかった。
でも寺田凛奈は彼の唇の動きを読み取った。
彼は言った。「凛奈、奴らが大師姉は誰かと問い詰めてきたが、俺は言わなかった。」
その瞬間、寺田凛奈の心臓が激しく締め付けられた!!
手術中、彼女も実は考えていた。
善存堂は寺田家の勢力を知っていて、実際京都で寺田家と正面から対決する必要はなかった。武術大会に勝つためには、寺田洵太の足を一本折るか、重傷を負わせるだけで十分だった。