寺田凛奈は数人の後をつけて、目立たない平屋に到着した。
周りは雑草が生い茂り、立ち退き世帯の集落のように見えた。新しい建物はまだ建てられておらず、平屋が不規則に立ち並び、逃走や移動に適していた。
そのため、到着後も寺田凛奈はすぐには中に入らなかった。
一つには、中に待ち伏せがあることを懸念したからだ。
二つ目は、一人では相手が大勢いた場合に制御できず、入江桂奈を逃がしてしまう恐れがあったからだ。
そこで彼女は2分ほど待ち、石山博義と藤本柊花が特殊部隊を連れて到着してから、一緒に中に突入することにした。
石山博義はいつものように黒い戦闘服を着て、背筋がピンと伸びてかっこよかった。
寺田凛奈が意外に思ったのは、藤本柊花も黒い戦闘服姿で、白い肌と黒い服のコントラストが際立ち、さらに彼女の真っ赤な唇と白い歯が相まって、非常に目を引く存在だった。