寺田凛奈は数人の後をつけて、目立たない平屋に到着した。
周りは雑草が生い茂り、立ち退き世帯の集落のように見えた。新しい建物はまだ建てられておらず、平屋が不規則に立ち並び、逃走や移動に適していた。
そのため、到着後も寺田凛奈はすぐには中に入らなかった。
一つには、中に待ち伏せがあることを懸念したからだ。
二つ目は、一人では相手が大勢いた場合に制御できず、入江桂奈を逃がしてしまう恐れがあったからだ。
そこで彼女は2分ほど待ち、石山博義と藤本柊花が特殊部隊を連れて到着してから、一緒に中に突入することにした。
石山博義はいつものように黒い戦闘服を着て、背筋がピンと伸びてかっこよかった。
寺田凛奈が意外に思ったのは、藤本柊花も黒い戦闘服姿で、白い肌と黒い服のコントラストが際立ち、さらに彼女の真っ赤な唇と白い歯が相まって、非常に目を引く存在だった。
寺田凛奈の視線に気づいたのか、藤本柊花は眉を上げ、かっこよく投げキッスを送りながら言った。「お姉さん、心配いりませんよ。中に入ったら私の後ろについてきてください。私が守りますから!」
寺田凛奈:「……ああ」
石山博義が後ろで手信号を送ると、すぐに部下が前に出て、そっとドアを開け、中に催涙弾を投げ込んだ。その直後、石山博義がドアを蹴り開け、矢のように中に突入した!
藤本柊花はお姉さんを守ろうと思っていたが、振り返ると寺田凛奈は石山博義の後を追って突入していた。
彼女は驚いて急いで追いかけると、石山博義がすでにボディガードの一人を制圧し、もう一人のボディガードが寺田凛奈に向かって攻撃を仕掛けているところだった!
前回拳王との戦いの後、寺田凛奈は久しく体を動かしていなかった。この相手に一発お見舞いしようと思った瞬間、目の前で影が動き、藤本柊花が彼女の前に現れ、あっという間にその大柄な男を地面に叩きつけた。
続いて、藤本柊花は素早く別の一人に向かって蹴りを放った。
4人のボディガード全員を、他の誰の手も借りず、彼女と石山博義で二人ずつ制圧した。
催涙ガスが徐々に晴れていく中、特殊部隊の残りのメンバーは周囲を囲み、誰も逃げられないようにし、寺田凛奈は素早く寺田治の元へ向かった。
彼が無事なことを確認して、ほっと胸をなでおろした。
寺田治は混乱した様子で「誰?」と尋ねた。
「私よ」