第509話 結婚証明書を取る！

その言葉を聞いて、ムヘカルは一瞬固まった。「姪っ子、その言葉はどういう意味だ？」

寺田凛奈が眉を上げ、話そうとした時、寺田亮が口を開いた。「つまり、私たち寺田家には黒猫以上に優秀な人間がいるということだ！黒猫がいるからって、いつも口にするのはうんざりだ。今は子供たちの結婚の話をしているんだ。いつまで黒猫の話ばかりするつもりだ？」

ムヘカルは一瞬言葉に詰まり、そして突然気づいた。「寺田さん、おかしいじゃないか。私が娘を嫁がせるんだから、あなたが私に頭を下げるべきだろう！なぜ私がここまで来て話をしなければならないんだ？」

寺田亮は冷笑した。「あら、私と話したくないなら、木田柚凪と話をしに行くけど」

その言葉を聞いて、ムヘカルは慌てて言った。「いや、いや、私と話してください！」

木田柚凪とムヘカルは最近やっと親子関係を認識したばかりで、父娘の関係はあまり良くなく、ムヘカルは寺田家で義父としての威厳を示すことができなかった！

しかし、ムヘカルは自分の娘がこんなにも静かに嫁いでいくことは絶対に許せなかった！

彼が考えていると、入り口から木田柚凪と寺田真治が手を繋いで入ってきた。

二人とも愛情に満ちた表情で、木田柚凪の目は笑みを含んでいた。

寺田真治の笑顔は普段よりもさらに深みがあり、魅力的だった。

二人を見て、寺田凛奈は思わず尋ねた。「何かいいことでもあったの？こんなに笑って！」

木田柚凪は寺田真治を見て、頬を少し赤らめ、何も言わなかった。

寺田真治は寺田亮とムヘカルの前に歩み寄り、笑って言った。「おじさん、お父さん、凛奈、みんなここにいてよかった。実は、いい知らせがあるんです」

その言葉を聞いて、三人とも一瞬固まった。

ムヘカルが最初に反応した。「今、私のことを何て呼んだ？」

寺田真治は二冊の赤い証明書を取り出して彼らに渡した。「今日、柚凪と婚姻届を出してきました。これからは夫婦です」

「……」

「……」

このニュースはあまりにも衝撃的で、少なくとも寺田凛奈は一瞬呆然として、信じられない様子で木田柚凪を見つめた。

ムヘカルも驚いて、「これは...少し性急すぎないか？」

木田柚凪は首を振った。「私たちは既に五年を無駄にしました。もう五年も失いたくないんです」

その言葉にムヘカルは口を閉ざした。