その言葉を聞いて、ムヘカルは寺田凛奈を見つめた。「私が知らないと言ったら、信じますか?」
寺田凛奈は一瞬驚いた。「どうして知らないはずがありますか?」
ムヘカルはため息をついた。「彼らがどうやって国外に出たのか、本当に知らないんです。私は彼らを日本に連れてくることだけを担当していました。そして、日本に着いてからは、私たちはそれぞれ別れました。彼らのことには、もう関わっていません。」
寺田凛奈は眉をひそめた。
本来ならムヘカルに功績を立てて罪を償う機会を与えようと思っていたのに、今の話だと、本当にムヘカルが彼らを連れてきたのだろうか?
彼女は眉をひそめた。
ムヘカルは口を開いた。「不正に証明書を偽造し、違法に人を出入国させたのは、確かに私の過ちです。罰を受ける覚悟はできています。あなた方の判断に従います。」
これらの罪状は一見大きくないが、判決は恐らく3、4年の懲役になるだろう。
寺田凛奈はムヘカルがこれほど素直に自分の罪を認めたのを見て、思わず尋ねた。「私の知る限り、暗殺者連盟はこのような依頼は受けないはずです。今回は、なぜ引き受けたのですか?」
ムヘカルは非常にくつろいだ様子で、大胆に椅子に座っていた。その雄々しい体格で小さな取調室の椅子に座ると、まるで次の瞬間には椅子が壊れそうな感じだった。
彼は袖をまくり上げ、腕の龍の刺青を見せた。まさにヤクザのような不良青年に見えた。
彼はニヤリと笑った。「他に理由があるわけないでしょう?相手が大金をくれたからですよ!」
お金……
寺田凛奈が何も言わないうちに、石山博義が口を開いた。「ムヘカルさん、私の知る限り、彼らの入国に対してあなたは1000万円しか受け取っていません。この金額は他の人なら心動かされるかもしれませんが、あなたは数億の資産がある人です。このような小さな仕事に興味を示すはずがありません。だから私たちの調査に協力してほしいのです。合理的な理由を示してください。さもなければ、あなたが神秘組織と共謀していると考えざるを得ません。」
石山博義の疑いには根拠があり、寺田凛奈も反論できなかった。