第530章 ムヘカルは本当に共犯者なのか？

ムヘカルが話している時、両手を上げた。

彼は自分の体で、石山博義の銃と木田柚凪の体の間に立ちはだかり、まるでその場で誰かが誤って発砲し、柚凪を傷つけることを恐れているかのようだった。

石山博義は寺田凛奈の方を見た。

寺田凛奈は軽く頷いた。

石山博義はようやく口を開いた。「ここで交代だ。」

「はい。」

ムヘカルはスーツを脱ぎ、服をきちんと畳んで、隣の従業員に渡そうとしたが、従業員は既に怯えて頭を抱えて蹲っていた。

彼は仕方なく服を寺田真治に渡した。

寺田真治は眉をひそめて彼を見つめた。「お義父さん...」

「大丈夫、大丈夫。」

ムヘカルは彼の手を軽く叩いた。「すべて誤解だよ、私は大丈夫。」

寺田真治は顎を引き締め、石山博義の方を見て、一歩前に出て何か言おうとしたが、ムヘカルは彼の前に立ちはだかり、首を振った。そして柚凪の目を見ることもできず、低い声で言い付けた。「柚凪と真由美をよく面倒見てやってくれ。」

そう言うと、彼は自分の服のポケットに手を入れた。

「動くな！」

私服警官が警戒して叫んだ。

ムヘカルはすぐに手を上げ、引き続き数人を見つめながら、相変わらず穏やかな口調で言った。「落ち着いて、落ち着いて...言った通り、抵抗はしない。ただ少し物を取り出すだけだ。」

石山博義は再び頷いた。

ムヘカルはようやくポケットからキャッシュカードを取り出し、寺田真治に渡した。

寺田真治は驚いた。「これは？」

ムヘカルは笑った。「持参金だ。」

この二文字を残し、彼はようやく頭を抱え、一歩一歩石山博義の方へ歩いていった。彼がまだ数人の前まで来ていない時、柚凪が突然口を開いた。「あなた...どうしたの？」

ムヘカルは振り返り、まだ笑顔を浮かべながら、声には慰めの色が濃かった。「大丈夫だよ、本当に大丈夫。心配しないで、些細なことだから。安心して結婚式の準備をしてくれ。君の結婚式の日までには、必ず戻ってくるよ。約束した通り、私が直接君を送り出すから。」

柚凪の目が赤くなった。

彼女は真っ白なウェディングドレスを着て、清らかで純粋な姿に、ムヘカルは微笑んだ。

その時、石山博義は銃を下ろし、一歩前に出て、直接手錠を取り出してムヘカルの手首に掛けた。他の者たちもようやく緊張が解けた。

実は共犯者がムヘカルだと分かった時、皆とても緊張していた。