第520章 彼女こそが三原御医の関門弟子！

次の瞬間、三原御医の息子が寺田凛奈の前に歩み寄った。「師妹、父が外で余計な面倒を起こさないようにと言っていました。」

「……」

その場が突然静まり返った。

皆が信じられない様子で三原さんを見つめ、高岡さんさえも呆然としていた。一瞬、自分の耳を疑ったほどだった。

しかし、すぐに眉をひそめた。「師妹？三原さん、三原御医が新しい弟子を取ったなんて聞いていませんでしたが？」

高岡さんは三原さんを問い詰めた後、冷笑いを浮かべ、寺田凛奈を見つめた。「なるほど、証拠があるとずっと言っていたわけだ。この前の三原家訪問は、そのためだったのか？はっ、やり方が上手いな！三原御医を師匠に仰いで、今日は堂々と振る舞えると？寺田家もなかなかやるじゃないか！危機管理も一流だな！」

その言葉の裏には、凛奈の拝師は見せかけだという意味が込められていた！

他の学生たちもこの言葉を聞いて、さらに怒りを募らせた。

倉田幸歩も我に返り、ため息をついた。「お金持ちってみんなこんなに傲慢なの？間違いを犯しても、手段を使って隠すだけで、認めようとしないなんて！本当に法外だわ！それに、医科大学がこんなに彼女を守るなんて、もしかして寺田家から何か貰ったんじゃない？」

この発言はさらに度を越していた。

傍らの記者たちはカメラをパシャパシャと構え、録画する者もいて、寺田家を批判する記事を書く準備をしていた。

「ひどすぎる！三原家も本当に失望させられるわ！三原御医はあんなに徳の高い方なのに、まさか買収されるなんて！」

「まさか、どの業界にも裏があるのね！」

「三原御医は寺田家に脅されているんじゃない？」

「……」

人々の憶測の中、寺田凛奈は冷笑を浮かべた。

ほら、これが社会というものだ。何をしても疑われる。もし彼女が漢方医学界で目立たない小さな医者だったら、今日のこの件は乗り越えられなかっただろう！

彼女は会場の学生たちを見渡した。

今日来ている人々は実に複雑で、学校の学生以外にも外部の人間がいた。彼女がずっとぐずぐずと話さなかったのは、群衆の中で誰が世論を誘導しているのかを観察していたからだ！

そして……彼らを捕まえる！

状況がほぼ出尽くし、群衆の中の世論誘導者たちもほぼ話し終えたのを見計らって、彼女はようやく唇を歪めた。「誰が私は新入りだと言ったの？」