第547章 誰が私をクビにされたと言った?

特殊部署で話されたことは、部外者には分からなかった。

この時、寺田凛奈は既に寺田家に戻っていた。

木田柚凪と寺田真治の結婚式は既に終わり、一行は家に戻っていた。木田柚凪はムヘカルを心配して少し憂鬱そうで、他の人たちも気を利かせて早めに帰っていった。

寺田凛奈が家の玄関に着いた時、携帯が鳴った。

電話に出ると、藤本凜人の声が聞こえた。「芽を連れて気分転換に出かけたんだ。彼女、少し元気がないみたいで」

寺田凛奈は頷いて「……ああ」

いつもと変わらない投げやりな声だったが、藤本凜人は何かを敏感に察知し、直接尋ねた。「気分が悪いの?」

「うん」

寺田凛奈は愚痴を言うのが嫌いで、何事も自分で消化するタイプだった。

しかし藤本凜人の問いかけに、思わず口を開いてしまった。「特殊部署をクビになった」